たくさん動いて、楽しく体の使い方を学ぶ。ソウルオリンンピックレスリング金メダリスト佐藤満さんの体育授業

たくさん動いて、楽しく体の使い方を学ぶ。ソウルオリンンピックレスリング金メダリスト佐藤満さんの体育授業

アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
2月19日、ソウルオリンピック、レスリング金メダリスト佐藤満さんが、鹿児島県いちき串木野市の旭小学校にアスリーチ!

小学校1年生から6年生まで全校生徒37名が元気いっぱいたくさん身体を動かしました。

訪問アスリートご紹介

佐藤満さん。秋田県出身。元レスリング選手。ソウルオリンピック、レスリング52kg級金メダル獲得をはじめ、ワールドカップ、アジア競技大会など多くの国際大会でも金メダルを獲得した。
現役引退後は2012年ロンドンオリンピック日本代表チームリーダーとして、4つの金メダル、2つの銅メダル獲得に貢献。現在は専修大学経営学部教授、スポーツ研究所所長のほか、レスリング部総監督を務めている。医学博士。

学校や地域のご紹介

鹿児島県いちき串木野市は鹿児島県本土西部に位置し、かつては金山と遠洋マグロ漁業が栄えていた。薩摩揚げ発祥の地として全国に知られています。旭小学校はJR九州新幹線川内駅から車で20分ほど、1879年に創立された歴史ある学校で、赤い屋根と木造校舎が目印のとても素敵な学校です。

実技と講話の授業

小学生の頃は運動好きでたくさんのスポーツに触れ、中学校ではバスケットボール部に。しかし、身長が低かったために限界を感じ、進学した高校でレスリングを始めました。ご近所にレスリングミュンヘンオリンピック金メダリストが住んでいたこともあり、身体が小さい自分でも世界を目指せると考えたそうで、ここから奮闘が始まります。高校へは朝5時に起床し、片道1時間半かけて通学。毎日7時から自主練習をし、16時からは仲間と一緒に練習。これを3年間やりきったそうです。「目指すものがあったから頑張れた」と佐藤さん。
大学はオリンピックチャンピオンになるために、レスリングが一番強い大学に進学。ロサンゼルスオリンピックは予想に反して最終予選で敗退し、大きな挫折を味わいました。その時は「心が弱かった」と振り返ります。その後、「心の弱さ」を払しょくするために猛練習。「自分では当たり前」と思ってやっていましたが、周囲には「何かにとりつかれているようだ」と言われていました。そして、ソウルオリンピックで見事金メダルを獲得。次のバルセナルオリンピックでは慢心があったと振り返ります。「金メダルを獲れると思っていた」と油断し、無理に技をかけにいき骨折。注射を打ちながら戦ったがメダルには届かなかったと。
挫折もあったが、夢を持ち、必死でチャレンジした道のりを話してくれました。子どもたちは真剣に耳を傾けていました。
最後に「夢を持っている人はいますか」の問いかけに、多くの子どもたちから元気よく手があがりました。「夢の実現に向けてチャレンジしてください」と締めくくられ、講義は終わりました。

実技は、体育館を広く使いたくさん身体を動かしました。手を左右に振りながら動いたり、
走りながら笛の合図でバスケットボールのシュート、バレーボールのスパイク、サッカーのヘディングなどの動作をしたり、床にお尻をつき、そのまま一回転して手を使わずに立ち上がったり、身体の使い方を学びます。手を使わずに立ち上がるのは、簡単そうに思えますが、体幹の強さとバランスが必要で、意外と難しいです。

続いてツイストのような動作を入れたトレーニング、レスリング選手がおこなう準備体操やバランストレーニングなど、へとへとになりそうなぐらい動きましたが、子どもたちの元気は衰えません。

二人一組で仰向けに寝て、手を使わずに早く起き上がる競争では、先に起き上がったほうが「一番」と叫びます。体育館中に大きな声が響き渡ります。片足での手押し相撲もやりました。

アスリートから児童生徒へメッセージ

大きな夢でも小さな夢でも、目標を持って頑張ることが大切です

スポーツでも、他の事でもなんでも良いので挑戦してください。失敗してもかまいません。挑戦した人にだけチャンスがあります。夢の実現に向けて、コツコツで良いので頑張ってみて下さい。

人との出会い、つながりを大切にしましょう

人に恵まれて夢を実現することができました。そして、たくさん頑張ったことで多くの人と出会い、縁ができ、つながりができました。人との出会いを大切にしてください。

授業のまとめ

講義では、夢の実現をテーマに、競技との出会い、奮闘、競技者としての挫折、栄光、失敗などの話を。実技は全力で身体を動かしました。
1年生から6年生まで幅広い子どもたちが対象の授業でしたが、みんなが楽しく身体を動かせる授業でした。講義で見せてくれた重要なスライドは、1年生でもわかるように漢字と平仮名表記で作っていただいていました。

なかなか手にする機会がない金メダルを全員が手にし、興味深そうに眺めていました。
そして、かたときでも佐藤さんのそばに居たい子どもたちも。

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