元陸上日本代表・長田拓也さんが伝える!「速く走るコツ」と「考えて行動することの大切さ」
アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
10月31日、元陸上競技選手で日本代表として金メダルも獲得している長田拓也さんが、石川県にある中能登町立鹿島小学校にアスリーチ!
速く走れるメカニズムと楽しさ、そして長田さんがプロとしてどうやって活躍することができたかを、小学6年生56名の生徒たちに教えてくれました。
目次
訪問アスリートご紹介
長田 拓也さん、愛知県田原市出身の元陸上競技選手。
2015年に北京世界陸上の男子4×100mリレーで日本代表として活躍。2018年に100mで自己ベスト10秒14を記録。2021年に現役を引退後、走ることの楽しさを伝えるために外部指導や教室を開き、普及活動を行っています。
学校や地域のご紹介
石川県鹿島郡の中能登町は日本海に突き出た能登半島にありながら、山々に囲まれた緑あふれる町。
この日、山のゆるやかな傾斜にある鹿島小学校のグラウンドから見た景色は、綺麗な青空が広がり「この時期になると薄暗い雲が広がるんですけど、珍しく天気が良いですね。」と、地元の先生たちが言うほど綺麗な景色を見渡すことができました。
実技と講話の授業
グラウンドに集まった生徒たち、午後の授業がスタート。
「それでは皆で一緒に呼んでみましょう… 長田さぁーん!」と先生の合図で、本日の特別講師・長田拓也さんが校舎から走って登場!
軽快な足運びとスピードに「早ぁっ!」と思わず驚きを隠せない生徒も。
息を切らすことなくそのまま生徒たちに挨拶をする長田さんですが、現役時代には怪我で苦しんだこともたくさん経験されました。
「急に動いて肉離れを起こすと数週間は動けないこともあります。」と、過去の話をして、入念な準備運動を開始。
体がほぐれたところでまずはウォーミングアップ。
じゃんけんの勝ち負けで進むミニゲーム。勝ち負けで四方に置いたコーンを幾つ進むことができる競争。
スタートの合図で生徒たちはじゃんけん。制限時間内にたくさん回ろうと猛ダッシュ!ゲームが終了すると、お互いの勝った数を元気に比べ合いっこして、ゲームを楽しんだ様子。
その後もペアになってじゃんけんを使ったミニゲームでしっかり身体があったまったところで、長田さんから「速く走るコツ」の授業が始まります。
身体の使い方を細かく説明しながら「世界一速いと言われたウサイン・ボルト選手が走ってるときの一歩は何メートルだと思う?」とクイズ。3メートルという答えを聞いて驚いた生徒たちに長田さんは「トップクラスの陸上選手たちは、脚の回転を細かくして走るのではなく、力強く大地を蹴って大きい一歩で跳ぶことに意識しています。」と説明。
長田さんが軽やかなスキップで大きな一歩を見せると、生徒たちからは驚きの声が湧き上がりました。
お手本を見せたところで次はスキップの練習。
長田さんから教えてもらった「身体の使い方」を意識しながら、高く大きくスキップ。
繰り返すことで生徒たちのスキップにもキレが増してきました。助走をつけて大きくスキップすると歩幅はさらに少なくなり、効果を体感できた生徒たちに生き生きとした表情が見えてきました。
皆が走り方にコツを掴めたところで、長田さんと代表生徒5人との短距離走!
生徒たちのスタート地点から10メートルほど後ろで構える長田さん。ハンデをもらった生徒たちに勝機が見えたかと思ったが、さすが元日本代表!ぶっちぎりで生徒たちを抜き去りました。
その後も2度の勝負に挑む生徒たちでしたが、トップアスリートとの距離は縮まらず、長田さんの圧勝で実践授業は終了。
生徒たちとの3回連続勝負を終えた長田さん、現役引退後にこれほど全力で走ることも少なかったのか「体力が落ちたなぁ〜」と、現役との変化を感じていました。
授業の後半は校舎に移動して講話の時間。
目の前で瞬足を見せた長田さんのお話に、生徒たちは真剣な表情で耳を傾けていました。
質疑応答のコーナーでは、長田さんが現役時代や学生時代に感じたことを吸収しようと、生徒たちは矢継ぎ早に質問していました。
アスリートから児童生徒へメッセージ
継続することを忘れないでほしい
小学生のときから短距離走が好きでしたが、中学校の運動部には野球部か剣道部のみ。陸上ができない環境下で野球部として練習と試合に出ながら、空いた時間で陸上短距離走の練習と試合にも出してほしい、と先生にお願いして野球部と陸上競技を両立しました。
高校から陸上部に入って本格的に練習に取り組んだおかげで、全国大会ベスト8の成績を出すことができました。
「陸上部がないからやらない」と諦めてしまえば、今ここで生徒の皆さんの前で喋っている自分はいません。
できないことを理由に諦めず、どうやったら出来るのか、工夫することを忘れないでください。
考えて行動すること
先生や大人たちに教えてもらったことをやるのはいいことですが、言われたことただやるのではなく、「なぜそれをやるのか」何のために行動するのか、その理由を自分なりに考えて行動してほしいです。それは運動や勉強、何でも当てはまることです。人に言われてやろうとしていることが何のために必要なのか、自分自身で考えて行動に移すようになってほしいです。
授業のまとめ
授業を終えて、校長先生との帰り際のお話で長田さんから「野球部を経験した僕は筋肉や姿勢に左右のバランスが悪かったので、綺麗にバランス良く走ろうと、高校で走り方を治すのにすごい苦労しました。でも小学生のうちに綺麗な走り方を身につければ、もっと速く走れるようになるので、今日授業を受けてくれた生徒の皆、そして担当して下さった先生たちにも覚えていてほしいです。」と、走りに対する想いをぶつけてくれました。
その長田さんの走りを、休憩時間中の生徒たちも校舎の上層階から見学。
職員室から授業を眺めていた先生たちも、気づけばグラウンドに運んで長田さんのスピードを見ては、声にならない声が漏れていました。
長田さんの走りとメッセージは間違いなく、鹿島小学校の皆の心にリーチしていました。