過去があって今がある。難病乗り越え掴んだ金メダル!パラリンピック金メダリストの浦田理恵さんによる笑顔あふれる授業!
諫早市立諫早中学校の3年生1組から7組の生徒に迎えられた浦田さん。生徒達と先生方は事前学習もしっかりと行なった上で今回の授業に臨まれていて、予習がしっかりなされており、スムーズな進行ができました。とても充実した2時間となりました。
目次
訪問アスリートご紹介
浦田理恵さん。熊本県玉名市出身。元ゴールボール選手。
20歳の頃、両目の視力が急激に低下し、網膜色素変性症と診断される。その後ゴールボールに出会い2008年からパラリンピック代表として戦い、2012年に金メダルを獲得した。2020年東京パラリンピックを最後に、2021年12月に代表活動からの引退を表明し、現在は講演活動など精力的に活動をされております。
学校や地域のご紹介
長崎県諫早市の中心地に位置し、全校生徒700名を超える諫早市内最大規模の中学校。700名を超える大集団での学校生活や諸行事における活動を通して自他を尊重し、「いさはや」を支えることのできる人材の育成を目指しているということで、生徒達も、挨拶や集団行動がとても溌剌とキビキビされていて、見ているこちらも元気になりました。
講話と実技の授業
大きな拍手に迎えられた浦田さん。早速授業に入ります。まずは自己紹介から。盲目の浦田さんにとって、声や手を叩いたりしてもらうことが大事な情報源、
どこに何組の生徒達が整列しているのか、また距離感なども実際に生徒に声を出してもらい確認をしていきます。人間は情報の83%が視覚から得ていますが私はその83%がほとんどない。けれど、まだ17%も使える!と浦田さんらしいとても前向きな考え方や、これまでのお話に、生徒たちはどんどん吸い込まれていきます。
講話では目が見えなくなった経緯やゴールボールを始めたきっかけ、パラリンピックでの様子やゴールボールとはどんなスポーツなのかなどをスクリーンを使い実際の映像を見ながら説明を受けます。また、獲得したメダルには触るだけで何色のメダルかがわかるようにメダルにも工夫が施されていることも紹介され、生徒たちは「なるほどなあ」と、驚いた様子です。
次に生徒を代表して1名の方に実際に目隠しをして、ゴールボールで使用する音が鳴るボールを使い、キャッチできるのか、パスできるのか実際に体験してもらいました。また、実際に使用するボールはどれくらい重いのか、金メダルとどちらが重いのかなどクイズなども行いました。
やはり視界が塞がれるととっても不安で距離感や状況が全くわからない様子です。
講話が終了すると、早速実技に入ります。授業の前にしっかり予習を行なってきた生徒と先生!気合い十分でゲームに入っていきます。
各チーム3人1組となり実際にゲームを行いました。生徒たちは難しさを感じつつも初めて行うスポーツに興味津々の様子。「見えなくて難しかった」「ボールの音はしっかり聞こえた」などの感想をいただきました。
実際に浦田さんも参加してゲームを行いました。2年前に引退されたばかりなのでまだまだ現役顔負けのプレーで生徒たちにお手本を見せます。生徒たちから「おぉ〜」と歓声が上がりました。生徒たちもだんだんと慣れてきた様子で、ナイスセーブを見せる生徒や、浦田さんチームからゴールを奪う生徒も現れ、大盛り上がり!
「目が見えないことで、自分が今どこにいるのか全くわからずラインを超えてしまった。視覚から得られる情報ってものすごく大切だなと感じた。」と普段得ることができないことを体感してくれた様子で、浦田さんも思わず笑顔になります。
アスリートから児童生徒へメッセージ
伝えたこと①
ゴールボールを始める前には、「痛そう」とか「難しそう」とかあったと思います。それでも体全身を使って壁を作る、最初からラリーがこんなに続くことや、こんなにみんながプレーできるんだということに本当にびっくりしました。みんなチャレンジをしてくれてありがとうございました。みんなからも勇気をいただきました。
伝えたこと②
来年度から高校生になる皆さんは、新しい場所で新しい経験をしていくと思います。不安もあると思いますけど、そのときはこれまでの中学生活を振り返ってみてください。いろんなことにトライしてきて今があるんです。そうやってちょっとずつ階段を踏みしめて今を迎えることができているんです。だからみんなはきっとあたらしいステージでもできる!勇気を出してトライすることを忘れないでください!
伝えたこと③
金メダルを獲得して思ったことは、金メダルを取る人って、すごく特別な人だと思っていた。でもそうじゃなかったんです。どれだけ特別になれるくらいの努力をするか。金メダルを取る分野はいくらでもあります。スポーツもそうだけれど絵を描いたり、音楽の世界だったり、数字を突き詰めたり、料理をしたり、いろんな分野での金メダルがあります。金メダルを目指して、高校生活でも頑張ってください!
授業のまとめ
金メダリストと触れ合うという、誰もができないような経験をすることができた生徒達。ゴールボールという競技、目が見えない世界を体験することができ、感じることがたくさんあったと思います。また、視力のほとんどを失っている浦田さん自身がとても明るく元気にポジティブな人柄で、「情報源の83%は使えない、でもあと17%も使える!」という言葉や、「ありがとうございます」と常に言葉に出して伝えている姿がすごく印象的でした。そんな浦田さんと生徒たち、先生方にとっても、この授業が何かの良いきっかけになればと思います。貴重な経験ができたあっという間の授業となりました。