「できなくてもいいからやってみよう!」体操オリンピアン大島杏子さんの体育授業

「できなくてもいいからやってみよう!」体操オリンピアン大島杏子さんの体育授業

アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
10月30日、体操競技で五輪2大会出場・大島杏子さんが、石川県の志賀町立志賀中学校にアスリーチ!
中学3年生約90名と一緒に、マット運動の体育授業を行ました。

訪問アスリートご紹介


大島杏子さん。東京都出身。体操競技でアテネ五輪・北京五輪に出場。
日本女子最多記録となる通算8度の世界選手権に出場。長きにわたり日本女子体操界を牽引してきました。

学校や地域のご紹介


金沢駅からJR七尾線に乗って到着した志賀町は、海や山に囲まれ、日本で唯一車で走ることが出来る砂浜が広がっていました。


「能登千里浜にある砂像、道の駅にあるお土産もお帰りになる前に是非見てください。あと、U F Oで町おこしに力を入れている面白い町なので…」と、職員の方からの地元の魅力について熱く語って下さいました。

実技と講話の授業


先生の紹介で授業がスタート。
体操経験者である先生、ご本人からの説明も必要ないくらい、生徒たちに大島さんの経歴について丁寧に紹介。
先生からの熱い紹介を受けて、大島さんからは「体操競技・種目について」「運動をすることの大切さ」についてスライドを使って説明。

各世代、運動によって身体の成長に違いがあり、中学生には“骨”の発達に影響があると説明。骨粗鬆症の防止にもつながるため、しっかりと今のうちに運動をしてほしい、と生徒たちに運動の大切さを伝えていました。
大島さんの授業に、中学3年生の生徒たちも熱心に聴いていました。

講和を終えて実技を開始。


まずは怪我をしないように準備体操!
大島さんのかけ声に合わせて生徒たちも続いて元気に声を出します。
股割りに屈伸、股関節のストレッチなど、いろんなポーズを指示する大島さん。
「えー、できなーい」「無理だよぉー」とストレッチから苦戦する生徒たちに、「無理って言わない!できなくてもやってみよう!」と力強い指導が入りました。

準備運動を終え、いよいよマット運動へ。
まずは前転から。上手く前に転がらない生徒たちを見て「膝を閉じたまま前転することを意識すること」を教える大島さん。
そうすると生徒たちから「お、できたっ!」という反応が。列の後ろからアドバイスする声も飛び交い、授業が賑やかになりました。

さらに授業は進み、開脚や膝を前に伸ばしたままの前転・後転と技の組み合わせに苦戦する場面がありながらも、「無理だぁ… あ、違う!できる!」と、大島さんの教えに習って前向きに取り組む生徒たちの姿が目立つようになりました。

苦戦する生徒たちには「今の惜しいよ!」と言いながら大島さんからの個人指導にも熱が入りました。

側転を最終課題として取り組んだ後は、マットに別れたグループから代表して一人ずつ、一番自信のあるマット運動を披露。代表者の積極性を見届けた皆は拍手で盛り上げました。

アスリートから児童生徒へメッセージ

“できない” “無理” などのネガティブな言葉は使わない

「無理」「できない」と言っていたら一生できない。できなくても良いからやってみる。やることそのものが大事。最初からできる人なんていない。できないことを少しずつ前向きにやり続けるからできるようになる。皆にはそうやって楽しんでほしいです。

怪我や体調に気をつける

講和でも説明したように、学生のうちにどれだけ運動したかによって、神経や骨、筋肉の発達に大きく影響します。皆のご家族が「昔はもうちょっと体が柔らかかったんだけどね。」というように、歳を重ねて運動の機会が減ると身体が固くなってしまいます。今のように自由に歩けるとも限りません。丈夫な骨、身体であり続けるために、学生のうちにしっかり運動することが一番の健康法になることを覚えてて下さい。

授業のまとめ

グループごとにマット運動を披露したあとに「じゃあ、皆が頑張ったから私も…」と言った大島さん、身軽な格好でマットの前に立ち、生徒たちの前で連続技からのバック宙を披露。五輪選手の技に、生徒と先生たちから拍手と歓声が体育館内に大きく響き渡り、授業は終了!

苦手意識を持ちながらも、生徒たちの間でアドバイスを送ったり励まし合う場面が見えた今回の授業。
「やってみよう」の精神で仲間たちとチャレンジする生徒たちに、大島さんも授業の最後にほっと安心した表情を浮かべました。

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