「速く走るコツ」を陸上・三段跳オリンピアン長谷川大悟さんから学ぶ

「速く走るコツ」を陸上・三段跳オリンピアン長谷川大悟さんから学ぶ

アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
10月26日、リオデジャネイロオリンピック陸上競技三段跳び日本代表長谷川大悟さんが、和歌山県の田辺市立中山路(なかさんじ)小学校にアスリーチ!
陸上競技の体育授業を行ました。

この日の授業は小学1年生から6年生まで幅広い学年の皆さんが対象でした。児童全員が走り幅跳びを披露し、ワンポイントアドヴァイスを受ける場面も。

訪問アスリートご紹介


長谷川大悟さん。神奈川県出身。中学校から陸上競技を始め、高校2年生からは三段跳びに専念。2016年リオデジャネイロオリンピック代表選考会であった、織田幹雄記念国際陸上競技大会で優勝し、日本では12年ぶりの三段跳びでのオリンピック代表の座を獲得した。その時の記録は当時日本歴代4位。現在は、現役選手として活躍しながら指導や講演活動をおこなっている。

学校や地域のご紹介


海沿いのJRきのくに線から山を上がっていくこと40分ほどで中山路小学校に到着します。

全校児童49名の学校です。校庭には学校のシンボル、大きなせんだんの木がそびえます。そして、体育館はログハウスのようでとても素敵でした。

授業の様子

まず三段跳びという競技のことを教わりました。3歩で跳躍する距離は電車の1車両分にも及ぶそうです。先生がメジャーを持ってその距離までいくと、子供たちは大騒ぎ、「うぇ~」と驚きの声が一斉に上がりました。

そして、小学生の頃は理科実験クラブ、パソコン部で家に帰るとゲームをしていた少年だったこと。そんな自分が中学校で陸上競技を始め、それでも進学するたびに競技を続けるか考え悩みながらも競技を続けたこと。そして大学生になって明確な目標ができ、オリンピック出場という夢を叶えることができたことなどが語られました。

また、競技生活を通じ「日々自分を成長させるためにも夢や目標を持つこと」「努力はちょっとしたことの積み重ね」「自分はひとりではない。だから、まわりの人を大切にし続ける」ことが大切であるとメッセージが発せられました。

また、好きな言葉は「人間本気になれば大差なし」。中学校の陸上部の監督に教わったそうです。「運動が得意ではなかった自分に、本気で取り組めば周りとの差を埋められる、しっかりと成長できるということを教えてくれました」。明確な目標を持って陸上競技に取り組んだ時期が遅かった長谷川さんにとって、いつも支えになった言葉だそうです。


後半は校庭に飛び出し速く走るコツを学びます。まずは、頭で考えている通り自分で身体が動かせているかの訓練です。長谷川さんが発する数字によって身体の部位を触れていきます。「イチで頭」「ニィで膝」といった具合です。子供たち、長谷川さんの発するスピードに良くついて行っています。

続いては、両足跳び、大きく高く跳ぶスキップ、大股で深く腰を落として歩く。いずれも下を見ない、前を向いて姿勢を整える、地面を強く蹴り、上体をぐらつかせないことが大事です。子供たちは声を発しながら一生懸命取り組んでいます。

そして、腕の動かし方。「手はどうしますか?」長谷川さんの問いに子供たちは思い思いの考えを口にします。「ではまず手をグーと握ってその場で腕を速く振ってください」続いて「軽く卵を掴むくらいの強さで同じ動作をしてください」「どっちが疲れましたか?」子供たちは一斉に「グー」と叫ぶ。腕の振り方は、肘が広がらないように背中の後ろまで引く。これでフォームは完成です。

その後スタートの姿勢を学びスタートの練習。瞬発力を高めるための体育座りからのダッシュ、後ろを向いて長座の状態からダッシュ。身体の切り替えを速くするためのシャトルランなど次々と速く走るための練習がおこなわれました。


最後は授業でもやっている「走り幅跳び」。遠くに飛ぶには「上を向いて跳びたい方向をみることです」とアドヴァイス。そして、ひとりひとり全員が跳び、長谷川さんからアドヴァイスをもらいました。

アスリートから児童生徒へメッセージ

挑戦することに才能や時期は関係ない

何かに挑戦しようと思ったときに、「周りの人が上手いから」「今からでは遅いじゃないか」と思う必要はありません。小学生の頃は運動とは無縁で、どちらかと言えば苦手意識を持っていました。友人に誘われて中学生で陸上を始め、目立った実績もないまま大学でも競技を続け、明確な目標や夢を持ったのは大学生になってからです。そして、オリンピックに出場することができました。

継続すること、諦めないことが目標達成の大きな要素になる

ひとつのことを投げ出さず続けていくことが大きな目標や夢を叶えることの力になります。進学するたびに陸上競技を続けるかを考え、思い悩みながらも続けました。諦めずに取り組んだことで目標を見つけることができ、そして夢も手にすることができたと思います。

授業のまとめ

穏やかな口調で子供たちに語りかける長谷川さん。それに頷き楽しそうに元気よく全力で走る子供たち。子供たちのエネルギーを感じる授業でした。

NHKさんが取材に来てくださり、子供たちもインタビューに答えてくれました。

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