オリンピアン渡邉高博さん、身体の使い方を分解したドリルで誰でも足が速くなる授業。先生方も興味津々!

オリンピアン渡邉高博さん、身体の使い方を分解したドリルで誰でも足が速くなる授業。先生方も興味津々!

アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
9月26日、陸上競技400m・1600mリレーでバルセロナオリンピックに出場した、渡邉高博さんが、大阪府堺市の八田荘西小学校6年生にアスリーチ!
走り方、速く走れるコツの体育授業を行ました。

子供たちから大きな拍手で迎えられた渡邉さん。1コマ目の前半は教室での講義からスタート。後半は運動場に移動し、速く走るための姿勢、身体の動かし方の実技。
2コマ目は児童が5つのグループに分かれての授業。広い運動場に散らばっているグループ間は全力疾走で移動する渡邉さん。大汗をかきながら、大忙しでした。

訪問アスリートご紹介


渡邉高博さん。愛媛県出身。
愛媛県立新居浜東高校時代はインターハイ陸上競技400mで高校日本新記録を樹立。早稲田大学進学後も日本選手権400m優勝。北京アジア大会400mリレー金メダル。東京世界選手権400mリレーアジア新記録樹立。バルセロナオリンピックには400m・1600mリレーに出場するなど輝かしい実績を持つ。現在は、アスレチッククラブを運営する渡高株式会社代表取締役、新居浜市議会議員。

学校や地域のご紹介


大阪市の南からほど近い、大阪府では大阪市に次いで人口の多い政令指定都市である堺市。日本最大の大仙陵古墳など、市内には古墳が多いことでも知られています。
八田荘西小学校は泉北高速鉄道線深井駅から約2kmに位置する緑に囲まれた学校です。
こちらの学校では総合学習にも力をいれており、今回授業をした6年生は、「キャリア教育」の一環のなか、なんと会社を立ち上げました。その会社は、地元が誇る伝統工業製品である「注染てぬぐい」をオリジナルデザインで制作し販売する会社です。現在クラウドファンディングで支援者を募っているところだそうです。

「渡邉先生」大忙し。熱の入った授業の様子


講義は、子供たちが「よろしくお願います」と渡邉さんにご挨拶。渡邉さんの「こんにちは」に、みんな元気よく「こんにちは」と応えるところからスタート。
「私は今のみなさんと同じ小学生のころに漠然とオリンピックに出場したいと思うようになりました」と語りかけ、子供たちは興味津々。

渡邉さんからの「どうしたら速く走れると思いますか?」の質問には、子供たちからたくさんの手が挙がり、「ももを上げる」「腕を振る」など答えていました。渡邉さんは「全部正解ですが、やみくもにももを上げても、腕を振っても速くは走れません」と実演すると爆笑の渦ができました。背筋をまっすぐに伸ばした姿勢から、身体を前に倒していけば自然と足がついてきます。その動きから腕を振れば誰でも速く走れます。これには子供たちの眼がキラ~ン。



運動場での実技では、背筋を伸ばしてまっすぐの姿勢をとること。そして、ピッチを上げる、ストライドを拡げるなど走りのコツを学びます。
正面を向いて両足でピョンピョン跳んで進んでいく。片足を前に出してのケンケン。足を前に出してリズムよく進んでいくドリル。後ろ足を前の足へと送っていくドリル。次々と走り方を分解したドリルが繰りだされます。最後はスタートのコツ。まっすぐの姿勢から「ヨーイ」で前傾して、片足は斜め後ろに、腕は力を入れ過ぎず。「ドン」で足からではなく頭から水泳の飛び込みのようなイメージでと。子供たちは「お~」と楽しそうに取り組んでいました。子供たちに交じって先生方も真剣に聞き入り、自分の身体を動かしていました。

そして、渡邉さんがデモンストレーションで軽快に跳ねるように走った際には「速い~、軽い~、すご~い」などの大歓声があがっていました。


2コマ目は子供たちが100m、ハードル、リレー、幅跳び、ソフトボール投げのグループに分かれての授業。「バトンパスはスピードを落とさずに。バトンを持ち変えずに」「幅跳びはイチ・ニイ・ピョーンというリズムで」「ハードルは飛びに行ってはダメ。走るリズムで」と、それぞれの種目ごとにご自身でお手本をみせながら、上達するポイントを丁寧に教えてくださいました。子供たちは真剣に取り組みどんどん上達していきました。

アスリートから児童生徒へメッセージ

誰でも足は速くなる

誰でも足は速くなります。難しいことではありません。「速く走るにはまず身体をまっすぐに姿勢を整える。そして前に倒れていったら脚がついてくるし、そこに手の振りを付けたら良いのです」。そして、足が速くなれば反射神経が磨かれます。
多くのジャンルの人たちが「足が速くなること」に関心を持っています。例えばピアノ奏者の方。その方は、「ピアノは手で弾くのではなく、身体全身で弾くから」とおっしゃいました。正しい姿勢を保ち、上手に動いて速く走れるようになったら、日常生活や何か他のことをやる時にも必ず助けになります。

何かに興味を持って打ち込もう

小学生の時に出場した陸上競技会で自分が速く走れることに気づき、中学生になって陸上競技を始め、自分はオリンピックに出場したいという夢を持ちました。自分はオリンピックの舞台に立てましたけど、みんながみんなスポーツアスリートを目指してほしいと思っているわけではありません。文化活動や音楽活動、勉強でもなんでも良いので興味を持って打ち込んでください。
これまでいろんな人と接してきて感じたのは、一流の人たちは何事にも興味を持って、一生懸命打ち込む人です。

「ムリ。できない。わからない」と思わない、言わない

何故「ムリ。できない。わからない」と考えてしまうかは簡単で「やったことがないから」。
やっていくうちにみんなどんどん上手になっていきます。皆さんには可能性がある。自分に自分で蓋をせずに、何事も「面白そう」だと思って興味を持って取り組んでみてください。

授業のまとめ

走り方の基本から、各種目ごとのアドヴァイスまで盛り沢山の授業でした。
競技を本格的に始めて10年でバルセロナオリンピックに出場。その倍以上の時間、多くの人たちに「速く走れるコツ」を伝えてきた渡邉さん。ユーモアあふれた口調も交えながらの授業は、子供たちを飽きさせません。子供たちは終始「わぁ~、できた~」といろんな言葉を発しながら楽しく取り組んでくれました。
10月に控えた堺市連合運動会で自己ベストを更新できるよう頑張ってください!

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