障がいをフォローし合いながら競技に挑む高田夫妻が、パラスポーツ体験を提供!
アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
9月20日、パラリンピック陸上競技日本代表の高田千明選手、デフリンピック陸上競技日本代表の高田裕士選手のご夫妻が、東京都の世田谷区立松丘小学校にアスリーチ!
目次
訪問アスリートご紹介
髙田裕士さん・高田千明さんご夫妻。高田裕士さんはデフリンピック日本代表、高田千明さんは東京2020パラリンピック日本代表。
聴覚障がいがある裕士さんと視覚障がいのある千明さん、お二人で支えあいながら現役陸上選手として活躍しています!
学校や地域のご紹介
サザエさんの銅像で有名な東急線・桜新町駅から徒歩15分ほどのところに位置する世田谷区立松丘小学校。周囲を住宅街に囲まれた、静かな環境です。
障がい者スポーツについてレクチャー
5年1組・3組の生徒たちの拍手に迎えられた高田さんご夫妻。授業の前半、校庭に集合した約80名の生徒たちに自身の持つ障がい(千明さんは視覚障がいで全盲クラス、裕士さんは聴覚障がい)やパラリンピック、デフリンピックの仕組みなどを説明します。
「わたしは目が見えないので返事は大きな声で!」という千明さんの呼びかけに、全員が大きな声で返事をすると、「このなかに手話できる人いますか?」という裕士さんの質問には、ひとりの生徒が自分の名前を手話で披露してくれました。
「高田家(ご夫妻と中学3年生の息子さん)の家事は誰がしているでしょうか?」というクイズが出され、「裕士さん!」と予想する生徒が多い中、正解は千明さん。「料理も掃除もなんでもやります!」と聞くと驚きの声が上がりました。「何度も失敗しました。油の中に手を突っ込んだこともあります。けれど、一度失敗してもチャレンジして、次に活かすことが大切です」という話を、生徒たちは真剣に聞いていました。
「きずな」ロープをもってアイマスク・伴走体験
後半はいよいよ実技、視覚障がい者による短距離走を体験します。二人一組で、ひとりはアイマスクを着用し選手、片方はガイド(伴走者)です。スタート時の足のポジション(両者が左右異なる足を前に出す)や、両者をつなぐ「きずな」と呼ばれるロープの持ち方の説明をうけます。「ガイドは選手の『目』となること!」という話には不安そうな生徒もいました。
千明さんが東京パラリンピックの際に使用したアイマスクも披露されました。裏側には、無観客開催だったため現地に行けない、応援している皆様からのメッセージがぎっしり!
まずは練習。約30メートルを歩いて進み、選手とガイドを交代して再度歩きます。足を揃えること、そのためには腕ふりを揃えること。しっかり走るために腕ふりは大きくすること、など千明さんからアドバイスが送られます。
そしていよいよ本番へ。コミュニケーションをしっかりとることが大事、ガイドが選手にゴールしたことを伝えないと転倒などでケガをしてしまうことがあるそうですが、全員無事に走り切りました。
アスリートから松丘小学校の児童たちへメッセージ
何事にも挑戦してください!そして創意工夫をしてください
私は目が全く見えませんが、どうやったらできるか、常に考えながらチャレンジをしています。目が見えなくても陸上競技ができるし、結婚もできるし、家事も子育てもできます。
皆さん、今から「どうやったらできるようになるか」、考えながら一日一日を大切に過ごしてください、
思ったことは言葉にしてください
皆さんが何を考えているのか、人間はエスパーではないので言わなければ伝わりません。自分の考えや思いは、どんどん言葉に出して伝えていってください。
授業のまとめ
授業の最後にあらためて「挑戦する気持ち」の大切さや、「町で障がいのある方にあったら積極的に話しかけてください」という話がありました。
そして頑張ったご褒美に、千明さんがアジア大会と世界選手権で獲得したメダルが披露されると、子どもたちから歓声が!視覚障がいのアスリート向けに『メダルの色により違う音のするメダル』や『点字のついたメダル』があることを知り、子どもたちは興味津々の様子。お宝に自由にふれることが出来た児童は、目を輝かせていました。
お互いに障害がありながら夫婦としてリスペクトし合い、挑戦を続ける高田さんご夫妻の授業は、子どもたちに多様な学びと優しい気持ちをリーチしました。