白熱したタグラグビーの試合!「ラグビー界世界初」選手とレフリー両方での五輪出場を目指す桑井亜乃さんの体育授業

白熱したタグラグビーの試合!「ラグビー界世界初」選手とレフリー両方での五輪出場を目指す桑井亜乃さんの体育授業

アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
9月27日、7人制ラグビーでリオデジャネイロオリンピックに出場した桑井亜乃さんが、大阪府の府立三国丘高校定時制2年生にアスリーチ!
タグラグビーの体育授業を行ました。

最初は少し遠慮もあった生徒の皆さんでしたが、最後はタグラグビーの試合で大盛り上がり。作戦会議をしてトライを狙うなど、みんなで協力し合い、楽しく、必死に白熱したゲームが繰り広げられました

訪問アスリートご紹介


桑井亜乃さん。北海道出身。
中京大学までは陸上競技円盤投げの選手。アテネオリンピック陸上競技ハンマー投げ金メダリスト、現スポーツ庁長官室伏広治さんを師と仰ぐ。立正大学大学院に進学してラグビーを始め日本代表に。2014年アジア大会銀メダル。2016年リオデジャネイロオリンピック出場。2021年現役引退後はレフリーに転身し、多くの国際大会でレフリーとして活躍中。現在、世界のラグビー界で初めてとなる選手、レフリー両方でのオリンピック出場を目指しています。

学校や地域のご紹介


南海電鉄高野線堺東駅、賑やかな駅前とは反対側に歩いてすぐ。学校はとても静かな環境の中に建っています。今年で設立128年ととても歴史のある学校で、全日制OBにはサッカー界のみならずスポーツ界の発展にご尽力された川淵三郎氏がいらっしゃいます。

大盛り上がりの授業の様子


陽も落ち暗くなってきた午後6時から始まった講義は、スライド、映像も使いながらおこなわれました。
「今回ここに来させてもらったのもご縁があってこそ。何か少しでも気づいてもらうことができたら良いなと思って来ました。自分がどうやって世界と戦えるようになったかを皆さんにお伝えしようと思います」とご自身がこれまで歩んできた道を話してくれました。
年間の日本代表活動は280日に及んだそうですが、振り返れば自分は選手としてただ頑張るだけだった。一方で、練習や合宿は「すべて準備されたもの」で、そのセッティングなど、選手のために動いてくれていた人たちの大変さを当時は気づけなかったし、理解しようともしていなかった。現役引退後フリーランスで活動し、まだまだ夢がたくさんある今は、その大変さがよくわかるとおっしゃっていました。

今なおチャレンジし続ける桑井さん。レフリー活動だけにとどまらず、ラグビー普及活動、解説、レポーター、モデル、移動販売のクレープ屋さんまで、ご自身手書きのシートもご披露いただき語ってくれました。生徒たちは真剣な眼差しで聞き入っていました。

そしていよいよ体育館での実技です。
ウォーミングアップのあとは、二つのチームに分かれて鬼チームのタグを獲りに行く鬼ごっこ。生徒の皆さんはすでに全開です。

続いて人数ゲーム。桑井さんが吹く「笛の数」と同じ人数のグループを作るゲームです。人数が揃ったら座ります。ゲームの最後はペアになり、今度はそのペアで向かい合っての反応ゲーム。桑井さんが「頭」「腕」「おしり」など呼び上げた身体の部位を生徒たちは自分で触ります。その途中、「マーカー」と声がかかったら、ペアの真ん中にあるマーカーを取り合うゲームです。取れなかった人は腕立て3回の罰ゲームがあります。「俺腕立てできへんのよ」と泣きを入れる男子生徒にみんな「応援してあげて」と桑井さん。

その後も、ペアでタグをとるゲーム。片方の腕をつかみ、もう片方の手で相手の頬を触れにいくゲーム、パスの練習と続きます。
ことあるごとに体育館の中には歓声が響き渡ります。

休憩を挟んでいよいよタグラグビーの試合です。最初は要領を得ず戸惑っている部分もありましたが、慣れてきたら皆さんボールを持って走る走る、男子も女子もグイグイいきます。途中「どうやったらトライを獲りに行けるか」の作戦会議もあり、みんなで知恵を出し合います。ボールを持っている人に回りが「パス」と声をかけるなど、コミュニケーションの大切さも学んでいきます。サイドラインの存在を忘れて突破しようとする生徒が続出するなど大白熱のゲームが繰り広げられました。

アスリートから児童生徒へメッセージ

夢は無限大

夢がないことは悪いことではないけど、夢を持って取り組むことは人生の楽しみになる。
夢をみつけてください。たくさんやりたいことがあっても良い。それを叶えられるかは自分次第です。やらないで後悔するくらいならまずやってみましょう。
なんでも良いから夢を持って、それを達成できるようにチャレンジ、努力する人生を送って貰いたいと思います。

チャレンジすることに意味がある

ラグビー選手を引退して、今はレフリーとしてパリオリンピック出場を目指しています。選手、レフリー両方でのオリンピック出場は、ラグビーの世界ではまだ例がありません。世界初です。
誰もやってきたことがない道にチャレンジすることは難しい。目標とする人がいないからです。自分で道をつくるしかない。そんな険しい道ですが、選択はいつも自分次第で他人が決めるものではありません。決断には大小あると思いますが毎日が決断です。失敗してもいい。チャレンジすることに意味がある。今を楽しんで、目の前にあることに必死になって頑張っている人はどこかで必ず活かされると思っています。

大切にしてほしいのは「人」

選手でオリンピックに出場して、今も新たなチャレンジをさせてもらっていますが、自分一人では成しえなかった。家族、チームメイト、コーチ、スタッフ、友達、全員に応援してもらい、全員を巻き込んで目標を達成しました。私の周りには、私のことを大切にしてくれる人がたくさんいます。だから、私もその人たちを心から大切にしています。自分の身近にいる人を大切にしてください。

授業のまとめ

生徒の皆さんと桑井さんの距離感がどんどん縮じまっていくのが感じられる授業でした。生徒の皆さんは明るく、積極的に元気よく実技の授業を楽しんでくれました。タグラグビーの試合での盛り上がりは圧巻でした。講義の時間も「皆さん真剣な眼差しを自分に向けてくれていた」と桑井さん。今回の授業が何かの気づき、チャレンジのきっかけになるといいですね。

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