オリンピアン渡邉高博さん「身体の使い方を分解したドリルで誰でも足が速くなる授業」、堺市第三弾!
アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
9月28日、陸上競技400m・1600mリレーでバルセロナオリンピックに出場した、渡邉高博さんが、大阪市堺市の槇塚台小学校3年生59名にアスリーチ!
走り方、速く走れるコツの体育授業を行ました。
今回授業をする子供たちと同じ小学校3年生の息子さんを持つ渡邉さん。息子からは「かけっこが速くなることで、いろんな事に役に立っている。」と教えてもらったそうです。わが子と楽しむような温かい授業でした。
目次
訪問アスリートご紹介
渡邉高博さん。愛媛県出身。愛媛県立新居浜東高校時代はインターハイ陸上競技400mで高校日本新記録を樹立。早稲田大学進学後も日本選手権400m優勝。北京アジア大会400mリレー金メダル。東京世界選手権400mリレーアジア新記録樹立。バルセロナオリンピックには400m・1600mリレーに出場するなど輝かしい実績を持つ。現在は、アスレチッククラブを運営する渡高株式会社代表取締役、新居浜市議会議員。
学校や地域のご紹介
大阪市の南からほど近い、大阪府では大阪市に次いで人口の多い政令指定都市である堺市。日本最大の大仙陵古墳など、市内には古墳が多いことでも知られています。
槇塚台小学校は泉北高速鉄道線泉ヶ丘駅からバスで10分ほど、大きな校舎と広い校庭を持つ小学校です。
実技と講話の授業
対象が3年生ということもあり、最初の講義は短めです。渡邉さんからの「世界選手権って聞いたことありますか?」「今やっているアジア大会は?」の投げかけに「あ~知ってる、知ってる」と反応します。オリンピック選手村の様子のお話しにも興味深く聞き入っていました。
渡邉さんの息子さんは走り方を習ったら、知らない間に倒立ができるようになったそうです。走りを上手にして身体を鍛えたら他のことも上手になります。6年生になったらみんなが出場する、堺市連合運動会を目指して頑張りましょう。「今からやったらめちゃめちゃ速なるで~」という激励に、子供たちは頷いていました。
実技は準備体操から始まりましたが、方々から「イタ」「ワァー」と子供たちの声が聞こえます。みんな元気です。
そして、背筋を伸ばしてまっすぐの姿勢をとること。そして、足の回転数を上げる、歩幅を拡げるなど走りのコツを学びます。
正面を向いて両足でピョンピョン跳んで進んでいく。片足を前に出してのケンケン。足を前に出してリズムよく進んでいくドリル。後ろ足を前の足へと送っていくドリル。次々と走り方を分解したドリルが繰りだされます。最後はスタートのコツ。まっすぐの姿勢から「ヨーイ」で前傾して、片足は斜め後ろに、腕は力を入れ過ぎず。「ドン」で足からではなく頭から水泳の飛び込みのようなイメージでと。子供たちは「お~」と楽しそうに取り組んでいました。
そして、渡邉さんがデモンストレーションで軽快に跳ねるように走った際には「速い~、軽い~、すご~い」などの大歓声があがっていました。
休憩をはさんで2コマ目は走りながら跳ぶドリルです。これができるようになると、ハードルや走り幅跳びにも役立ちます。まずは、「イチ、ニッ、サン」「サン」と同時にその場で1回大きく跳ねます。その次は、そのリズムのまま走っていきます。これが意外と難しい。でも子供たちはどんどん上手になっていきます。
そして実技の最後は、先生方がきれいにラインを引いてくださったトラックを使って、渡邉さんと子供たちの競争です。渡邉さんは子供たちの後方10mくらいから大外を回って走るハンデキャップを追いながら、女子グループ、男子グループの順で2本走りました。走っている時、周りからは大声援です。そして、男子の子供が渡邉さんの猛追を粘りに粘って振り切りゴールした瞬間は割れんばかりの歓声に包まれました。
その後、渡邉さんへの質問コーナーがあり、沢山の子供から手が挙がりました。「何故オリンピックに出場しようと思ったんですか?」「リレーの他は何をしていましたか?」「どうして選手を引退してしまったんですか?」「子供の時に習い事をしていましたか?」など沢山の質問にも丁寧に答えてくださいました。
アスリートから児童生徒へメッセージ
誰でも足は速くなる
誰でも足は速くなります。難しいことではありません。「速く走るにはまず身体をまっすぐに姿勢を整える。そして前に倒れていったら脚がついてくるし、そこに手の振りを付けたら良いのです」。そして、足が速くなれば反射神経が磨かれます。
多くのジャンルの人たちが「足が速くなること」に関心を持っています。例えばピアノ奏者の方。その方は、「ピアノは手で弾くのではなく、身体全身で弾くから」とおっしゃいました。正しい姿勢を保ち、上手に動いて速く走れるようになったら、日常生活や何か他のことをやる時にも必ず助けになります。
何かに興味を持って打ち込もう
小学生の時に出場した陸上競技会で自分が速く走れることに気づき、中学生になって陸上競技を始め、自分はオリンピックに出場したいという夢を持ちました。自分はオリンピックの舞台に立てましたけど、みんながみんなスポーツアスリートを目指してほしいと思っているわけではありません。文化活動や音楽活動、勉強でもなんでも良いので興味を持って打ち込んでください。
これまでいろんな人と接してきて感じたのは、一流の人たちは何事にも興味を持って、一生懸命打ち込む人です。
「ムリ。できない。わからない」と思わない、言わない
何故「ムリ。できない。わからない」と考えてしまうかは簡単で「やったことがないから」。
やっていくうちにみんなどんどん上手になっていきます。皆さんには可能性がある。自分に自分で蓋をせずに、何事も「面白そう」だと思って興味を持って取り組んでみてください。
授業のまとめ
授業の間の休み時間にも鉄棒したり、走ったり、とても元気な子供たちでした。
競技を本格的に始めて10年でバルセロナオリンピックに出場。その倍以上の時間、多くの人たちに「速く走れるコツ」を伝えてきた渡邉さん。ユーモアあふれた口調も交えながらの授業は、子供たちを飽きさせません。子供たちは終始「わぁ~、できた~」といろんな言葉を発しながら楽しく取り組んでくれました。
日常生活でも正しい姿勢を保つことで、子供たちがますます成長していくことを願っています。