成果はすぐに見えないところが楽しい!トライアスロン・蔵本 葵さんによる走り方教室

成果はすぐに見えないところが楽しい!トライアスロン・蔵本 葵さんによる走り方教室

アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
10月20日、トライアスロン選手・蔵本葵さんが、新潟県の西鱈田小学校にアスリーチ!
全てのスポーツに通ずる「走り方」について、身体の動きをひとつずつ丁寧にレクチャー。

「体を動かすって楽しい!挑戦するって楽しい!夢は大きく!」という蔵本さんから、子供たちに走り方の秘訣を伝授!

訪問アスリートご紹介


蔵本 葵さん。埼玉県出身。
オールキッズトライアスロンでの優勝をきっかけにトライアスロンの魅力にはまり、2004年高校1年生の時から東京ヴェルディトライアスロンチームに所属。
2014年には世界トライアスロンシリーズ(世界最高峰シリーズ)とワールドカップに参戦。
現在はパラトライアスロンのナショナルチームのスタッフ、国体女子監督、東京ヴェルディトライアスロンチームの育成を担当。

学校や地域のご紹介


新潟県三条市の南にあり、のどかな田園に囲まれている西鱈田小学校は今年で創設141年!三条市立で一番古くから続いている小学校。
運動場のトラック内側には天然芝が広がっており、三条市立内の小学校19校に完備。
「芝刈り機に乗って天然芝を手入れするのが、管理スタッフさんの楽しみになっているんです。」と、校長先生からにこやかにお話いただきました。
給食時間の校内放送では、最新のK-POPソングが聴こえたかと思えば、「皆さん、こんにちはー!」とD J男子生徒による元気なオープニングが始まるといった、とても軽快なランチタイムが響き渡る学校でした。

実技と講話の授業


この日授業を受ける6年生の生徒たちが体育館に集合、先生からのご紹介を受けて蔵本さんのご登場。
「今日の授業では何て呼んでもらおうかな。蔵本… さん?先生?コーチかな。」と呼び方を決めた蔵本コーチ。
みんなにトライアスロンの魅力を知ってもらえるよう、ご自身の映像や写真を見せながらご紹介。
水泳、自転車、ランの3種目から構成されているトライアスロン。水泳に関してはかつて、相手の頭や水着を引っ張って妨害することも当たり前だったことから選手の間では「バトル」と呼ばれるほどの壮絶なスポーツだったそうです。

蔵本さんがトライアスロンを始めたきっかけは、経験者であるお父様の影響。ジュニア大会での優勝を積み重ね、世界大会に出場など、これまでの戦績やエピソード、トライアスロンの魅力などご自身の経験を語っていただきました。


自己紹介を終えたところで、競技の一部を再現した動きを皆と一緒に体験。
その場で靴を脱ぎ、着用しているビブスを足元に置くよう生徒たちに指示する蔵本コーチ。
「トランジション」という、トライアスロンの3種目の間で靴やウェアを付け替える作業。素早く装着するのがタイムに大きな影響を及ぼすことから、トライアスロンの「第4の種目」といわれるほど重要なパート。

蔵本さんの合図で一斉に靴とビブスを身に付ける生徒たち。
靴のかかとを踏んだままの生徒には「反則!」と、蔵本コーチからの厳しい指導も入れば、ビブスの裾を輪になるように足元に広げる生徒には「面白い!自分で工夫して個性が出るのは実際の競技でも同じ!」と褒める場面も出るなど、着替え方ひとつでも皆の工夫がみえました。


トランジションのルールとコツがわかったところで、もう一度トランジションにチャレンジ、そのまま体育館内を一周。正しく着用して無事に走れるか、蔵本コーチの目が光りました。お互いのビブスと靴を注意し合いながら、生徒たちの元気な声と足音が館内に響き渡り、前半の授業は終了。

後半は外に出て走り方の授業!
運動場には青空と学校自慢の芝生の香りが広がり、トンボの群れが皆を出迎えてくれました。

まずは腕の振り方。
肘を曲げて前に振るか後ろに振るか、どちらが走りやすいか実践。
「前と後ろ、どっちの振り方が走りやすかった?」と聞く蔵本コーチ。生徒の手はほぼ半分に数が分かれました。
「どちらが正しいのか、正解はありません。皆の身体に応じて動きやすい振り方があるし、身長が伸びたり身体の成長によって動き方にも変化が出てきます。」と各々の感覚が大事であることをアドバイス。

次にいろんな腕の振り方で走り方の練習。
手を伸ばしたまま回す、そのままスキップを加える、太ももの後ろに置いた手をかかとでタッチしながら走る、など様々な走り方に「イッチニッ、イッチニッ!」と、生徒からは自然と元気なかけ声も聞こえてきました。


全身を大きく動かした後は、ラダーとコーンを使ってステップの練習。
前向きから始まり、横向きに横っ跳びと形を変えてラダーを走り抜け、その先のコーンでは狭い隙間を一歩ずつ素早く足を運ぶ生徒たち。
「足の衝撃を減らすよう、足音を立てないことがポイント」とコーチからのアドバイスで皆の意識が増し、より熱心に練習に取り組んでいました。

授業も終盤が近づき、仕上げの練習法。
スタート地点で5回ジャンプしてからダッシュ。なるべく膝を曲げず、地面との着地面を少なく。
「足元がアッツアツのフライパンの上にいるイメージで、素早く跳んでみて!」という蔵本コーチからのユーモアたっぷりなアドバイスも加わり、生徒たちは元気にチャレンジ。

何度か走ったところで次は、後ろの生徒たちに肩を抑えてもらいながらジャンプ。跳びにくいよう負荷をかけ、そのパワーのまま前方向にダッシュ。

全員思い切り駆け抜けたところで蔵本コーチの特別授業は終了。
自分に合った走り方、身体の細部まで意識した練習、普段と違ったアプローチで走り方を教わった生徒たちからは、清々しいお礼の挨拶が響き渡りました。

アスリートから児童生徒へメッセージ

夢中になることの楽しさを感じてほしい

「すぐに成果が見えないところがトライアスロンの面白いところ。時間をかけて楽しさを見つけて工夫することが魅力。みんなに夢中になることの楽しさを見つけてほしい」と力強く語りかける蔵本さん。

授業のまとめ

「普段なかなか聴けないお話や授業ができたこと、生徒たちにとって貴重な時間となりました。」と生徒たち以上に充実した笑顔と声でお話をしてくださった先生。
蔵本コーチの授業を聞いていた生徒たちも、教えてもらった動作をその場で確認する仕草が目立ち、アドバイスを吸収しようと熱心に取り組んでいました。
授業の最後には、クラスを代表して男子生徒からお礼の言葉。
「僕が知らなかった足を速くする動き方を知ることができてよかったです。また機会があったらよろしくお願いします。」と蔵本コーチに今日の感想を伝えて、クラスの皆と一緒にお礼。
「アドバイスをする度に生徒たちが『ハイッ!』という元気な返事を返してくれるのが気持ちよかったです。」と、蔵本さんも生徒たちからしっかりと元気をもらった様子。
「新潟県は大会の遠征で何度か訪れていたので、また足を運べることが楽しみとなりました」と、ご縁を感じた蔵本さんでした。

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