継続することがチカラになる!元陸上日本代表・長田拓也さんによる特別体育授業

継続することがチカラになる!元陸上日本代表・長田拓也さんによる特別体育授業

アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
11月2日、元陸上競技選手で日本代表として金メダルも獲得している長田拓也さんが、石川県にある野々市市立館野小学校にアスリーチ!

速く走れるメカニズムと楽しさ、そして長田さんがプロとしてどうやって活躍することができたかを、小学4年生72名の生徒たちに特別授業を行いました。

訪問アスリートご紹介

長田 拓也さん、愛知県田原市出身の元陸上競技選手。
2015年に北京世界陸上の男子4×100mリレーで日本代表として活躍。2018年に100mで自己ベスト10秒14を記録。2021年に現役を引退後、走ることの楽しさを伝えるために外部指導や教室を開き、普及活動を行っています。

学校や地域のご紹介

金沢駅から電車で約30分ほどの位置にある野々市市立館野小学校は、「笑顔いっぱい!あいさついっぱい!」が正面口に掲げられているぐらい、生徒たちも長田さんとすれ違うたびに元気な挨拶で出迎えてくれました。

給食時間のあいだに長田さんが準備をしていると校長先生から「全国大会で5位になった6年生がいるので、ぜひアドバイスをお願いします!」とリクエストが。

今年9月に行われた全国小学生陸上競技交流大会に出場し、男子コンバインドB競技で5位に入賞した新田さん。世界で活躍した長田さんを前に最初は緊張していましたが、自身の課題を相談すると長田さんからのアドバイスを聞いていくうちにアスリートの表情に変わり、長田さんの話を一言一句漏らさないよう頷きながら聴いていました。

実技と講話の授業

午後の授業から始まる今回の特別授業。
グラウンドに集合する生徒たちをお出迎えする長田さん。
授業の始めに先生から「今日はしっかりと学んでいきましょう。みなさん、聞くときは聞く!やるときは?」という問いかけに「やるっ!」と意気の揃った4年生72名の元気な返事で授業はスタート!

まずは動き出す前の準備体操。
現役時代に度重なる怪我に悩まされたという長田さん。ご自身の経験を交えて肉離れの痛みと準備運動の大切さを生徒たちに丁寧に説明。

準備体操が終わったところでウォーミングアップ。
数十メートル間隔でコーンを四方に設置、じゃんけんに勝てば左回り、負ければ右回りにひとマスずつ進むミニゲーム。
スタートの合図で一斉に隣のお友達とじゃんけんを始めると、左右に散らばってコーンに走り出す生徒たち。
制限時間内にたくさん勝ち進めるようみんな必死に走り回りました。

次はペアになって全身を使ってじゃんけんゲーム。負けた子は、勝った子の周りを一周ジャンプ。
「これしんどーい!」と声をあげながらも、長田さん式のウォーミングアップに生徒たちの表情には満面の笑顔。

身体がしっかりあったまって水分補給をしたところで、いよいよ「速く走るコツ」を伝授。

走り方を説明する前に長田さんからクイズ。
「世界で一番速く走れる人といえば誰でしょう?」の問題に「ウサイン・ボルト選手」と即答の生徒たち。
ボルト選手の一歩は3メートルだという話に生徒たちと、担任の先生たちも思わずびっくり!
「脚のたくさん回転させるよりも、地面を強く蹴った反動で大きな一歩で跳ぶことが大事なんです」と、世界の走り方を解説。

走り方の練習でよく使われているスキップを、長田さんのお手本を見せると「高ぁいっ!」と生徒たちは目を丸くして驚きの様子。
長田先生のお手本に倣って生徒たちも高くスキップ!高く跳ぶことを意識しながら、みんな一生懸命腕を振っていました。

姿勢や足運びを繰り返し練習したところで実技の終盤、長田さんと生徒たちの短距離走対決!

生徒たちから代表者を募り、2組に分かれてそれぞれ1本勝負。
生徒たちのスタートラインから10数メートル後ろの位置にスタンバイして、生徒たちとの真剣勝負。
結果は2組とも見事、長田さんの勝利!
2組目では、ゴール数メートル前まで生徒が一人リードしていましたが「あの距離は、勝ちを確信できました」と、世界基準の走りを見せつけた長田さんでした。

実技を終え、体育館に移動してからは講話の時間。
小学生のときから走るのが大好きで負けなしだった長田少年が、どのような考えと出逢いがあって陸上選手としてのキャリアを積み重ねてきたのか、そのなかでの失敗や経験を丁寧に説明。
長田さんの話に耳を傾けながら、生徒たちも必死にメモをとる姿が見えました。
質疑応答の時間では、生徒たちからたくさん手が挙がり、長田さんも時間の限り一問一答しているとあっという間に授業は終了。生徒たちは心身ともに刺激的な時間を過ごした様子でした。

アスリートから児童生徒へメッセージ

継続することを忘れないでほしい

運動や勉強、何でもいい、身近な物からでも良いから目標を持つこと。そしてその目標を忘れずに諦めずに、継続してください。
中学校から大学まで陸上を諦める出来事はいくつかありましたが、それでも自分なりに考えて継続してきたからこそ、今こうやって生徒の皆さんにお話することができています。
みんなそれぞれいろんな目標を持っていると思います。些細なことでもいいので、自分の作った目標を継続することを忘れないでほしいです。

考えて行動すること

大学の陸上部時代、コーチが考えた練習メニューを聞いて「次の大会に向けてこういう課題を持っているので、今日はこの練習に変更したいです」と、その場で提案したこともありました。
先生や大人たちの言うことを聞くのも大事です。漢字の勉強や今日の走り方も、言われたことをただやるだけでなく、何のためにやっているのかを考えながら行動してみてください。

授業のまとめ

質疑応答の時間で「緊張することはありますか?」と、生徒から質問に「よく緊張していましたよ」と答える長田さん。
学生時代の大会では、スタート直前まではリラックスすることを意識していたと。「本番前の一本を走り終えてスタートラインまで戻るまでの道中、観客席にいる家族や友人、知っている顔を見てリラックスするようにしていました」と、ご自身の緊張のほぐし方を説明。
「もともと緊張するタイプだし、なんなら人前で話すことも苦手なタイプでした。でも何度もお話の機会を頂き、続けてきたことで皆に伝えたいことを話せるようになりました」と、継続してきた結果を生徒たちも身をもって理解し、納得の表情を浮かべていました。

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