何事も全力でやることの大切さを学ぶ、リオデジャネイロパラリンピック銅メダリスト多川知希さんの体育授業

何事も全力でやることの大切さを学ぶ、リオデジャネイロパラリンピック銅メダリスト多川知希さんの体育授業

アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
11月14日、リオデジャネイロパラリンピック4×100mリレー銅メダリスト多川知希さんが、岐阜県関市の武儀小学校にアスリーチ!

冒頭に校長先生からパラリンピックの説明など丁寧なイントロダクションがあり、子どもたちの大きな声で迎え入れて貰いました。今日は、講話は全校児童88名、実技は5・6年生29名への授業です。

訪問アスリートご紹介

神奈川県出身の多川知希さんは、生まれつき右手に障がいを持っていたが中学生のときに陸上競技をはじめ、北京・ロンドン・リオデジャネイロのパラリンピック3大会に出場。リオデジャネイロパラリンピックでは陸上競技4×100mリレーで銅メダル獲得。東京パラリンピックでは聖火の点火役を任命されました。現在でも仕事と両立しながら競技を続け、パリパラリンピック出場を目指しています。

学校や地域のご紹介

JR高山線美濃太田駅から下呂、高山方面に車で進んでいきます。武儀東小学校と武儀西小学校を統合して2021年に開校した学校です。原木シイタケ栽培が盛んな地域で、児童がシイタケ教室に参加し、地域の特産品への理解を深めているそうです。また、校章もシイタケをモチーフにしているそうです。

実技と講話の授業

最初は体育館で講話の時間です。自己紹介のあと、パラリンピックは障がいの種類や状態によってクラスわけがされ競技が実施されていることを説明。また、短距離の選手は義手を付けて走る選手と付けない選手がいて、義手を付けていない選手はクラウチングスタートの際、両肩の高さを揃えるために台を置き、その上に腕を乗せることを映像を見せながら話してくれました。子どもたちは一斉にやってみていました。他にもリレー競技にバトンはなく、タッチすることにより次の走者につなぐことなどを教えてくれました。

また、リオデジャネイロオリンピックで獲得した銅メダルも持参いただき見せてもらいました。オリンピックのメダルとは少し違い、目が見えない人のためにメダルを振ると音が鳴なり、その音も金銀銅メダルによって違うこと。また、メダルに点字が書いてあることも教えてもらいました。子どもたちは、時折声を上げながら、興味深く聞き入っていました。

「障がいを持って生まれてきましたが、できることはたくさんあります。車の運転も靴紐も自分で結べます。逆上がりも頑張ってできるようになりました。障がいを持っていても工夫と努力次第でいろんなことができます」と多川さん。

実技は場所を体育館から校庭に移しておこなわれました。準備体操は子どもたちでやりました。陸上競技で重要なことの一つは「姿勢」。姿勢をよくするために真っすぐに立ち、両足の踵をつけ、できるだけ一直線になるように開きます。上体は、胸の前に両手で輪っかを作ります。この動作をすると背筋がピンと伸び、姿勢が良くなっていきます。意外と難しいですが子どもたちは楽しそうに一生懸命取り組んでいました。

続いてスタートの姿勢のレクチャーです。「目をつぶってまっすぐ立ち、身体を前に倒した時、先に出たほうの足を前に置きましょう。前傾して倒れる力を使ってスタートして、数メートルは”頭のてっぺんをゴールから引っ張られるように”前傾姿勢を維持しましょう」とアドバイスがあり早速やってみました。

そしてリレーに移ります。リレーのコツはバトンを受ける側が全速力で走り、スピードを落とさないこと。そのためには走り出しのタイミングを決めておくことが大事です。4チームに分かれてのレースは白熱したものになりました。人数が足りないチームに入った多川さんの、みるみるうちに前の走者との距離を詰めていく走りに驚きの声があがります。

最後に代表の子どもから「スタートの時にすぐに顔を上げるのではなく、ゆっくりとあげていくことがわかりました」と感想とお礼が述べられました。

アスリートから児童生徒へメッセージ

諦めず全力で取り組むことが大切です

障がいを持って生まれてきて、障がいを持っているから苦労をしているとか残念だったと思ったことは一度もありません。逆上がりも頑張ってできるようになりました。全力で取り組めばできることはたくさんあります。

リオデジャネイロパラリンピックの銅メダルはアメリカチームが失格になったことによる繰り上げですが、最初から実力的には4位だとわかっていながらも、諦めず必死に頑張って4位の着順でゴールしたからこそ手に入れることができたものです。パラリンピックに3回出場して感じたことは、諦めずに必死に頑張っていれば、思いがけぬ幸運をもたらしてくれることもあるということです。何事にも全力で取り組んでみてください。

授業のまとめ

丁寧な講話、実技に加え、義手やメダルにも触れさせてもらい、子どもたちにとって貴重な時間となりました。
運動会の時に踊った「ソーラン」を応援するために、先生方が児童にサプライズで贈った大漁旗もみせてもらいました。

中日新聞さん、岐阜新聞社さんが取材に来てくれました。

この記事をシェアする