夢を叶えるため31歳からブラインドマラソンにチャレンジ!アテネパラリンピック金メダリスト高橋勇市さんが高校の体育授業でマラソン指導
アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
12月7日、アテネパラリンピック金メダリスト高橋勇市さんが、山形県米沢市の米沢工業高等学校にアスリーチ!
「夢を諦めない!」ことについての講話とブラインドマラソン体験の授業を行いました。
生徒たちは授業開始時は少し緊張していましたが、高橋さんのお話やはじめて体験するブラインドマラソンの体験の感覚に、いろいろなことを感じる様子が見て取れる授業でした。
目次
訪問アスリートご紹介
高橋勇市さん。秋田県横手市出身のプロアスリートでアテネパラリンピックマラソンの金メダリスト。現在はトライアスロンでワールドカップなどに参戦する現役アスリートです!
学校や地域のご紹介
山形県米沢市にある県立米沢工業高等学校。米沢駅から車で約5分の場所に位置します。明治30年山形県で最初、全国で6番目の工業学校として設立され、今年で創立126周年をむかえる歴史ある学校です。
実技と講話の授業
先生からの自己紹介を終えると、高橋さんによる「夢を諦めない!」ことについての講話がはじまります。
まずは、自身が金メダルを獲得したアテネパラリンピックの映像が流れます。それを真剣に見入る子どもたち。映像が流れ終わると、夢についてのお話がはじまります。
小学校のときの高橋さんは歌手になるのが夢で、中休みには教室の後でよく歌っていたそうです。また、その当時は走るのが嫌いでした。
小学校4年生のときの校長先生との出会いで、徐々に走ることが好きになっていった高橋さん。6年生の運動会でのかけっこで、人生ではじめて1番に。その快感から夢が「オリンピック選手になる!」へと変わります。
そこで中学生になると陸上部に入部した高橋さん。短距離では結果が出なかったため、先輩からのアドバイスもあり長距離に転向しました。
練習に励む高橋さんですが、高校生のときに身体検査がきっかけで難病が発覚します。「20歳で失明をしますよ」と医師に宣告されますが、その病名は百科事典にも載っていなかったため、はじめは自分が難病になったとは信じてはいませんでした。
しかし、時がたつに連れ視力が落ちていき、そのせいか階段を踏み外してしまったことも。
高校を卒業し、宣告された20歳が目の前に迫ってくると、完全に目が見えなくなる恐怖に襲われ「このまま生きているとお母さんやお父さんに迷惑がかかるのではないか」と思い悩むように。しかし、母親や多くの人の支えによって前向きな気持ちを取り戻したそうです。
その後、パラリンピックを知って小学生のときの「オリンピック選手になる!」という夢を思い出し、31歳のときにブラインドマラソンにチャレンジすることに。
数々の成功や失敗、周りに支えられた経験があったからこそアテネパラリンピックで金メダルを獲得できたこと、パラトライアスロンに挑戦したことなどを語ってくれた高橋さん。今の夢は日本全国の山を登り尽くすことだそうです。高橋さんの生きる姿勢は、生徒たちに夢を諦めないで挑戦することの大切さを伝えていました。
講話終盤、高橋さんは生徒たちに金メダルやパラトライアスロンで獲得したメダルを実際に手にとって見てもらいました。高橋さんは、これは「みんなに助けられて取れたメダル」だと伝え、講話の時間は終了となりました。
後半はブラインドマラソンの体験です。2人1組で片方がアイマスクなどで目を隠し、もう1人が伴走者として誘導をします。最初は伴走者の肘をもって歩き、次は伴走ロープをもって歩く、最後にはゆっくりと走ります。コース途中にはマットが敷かれているため、足元の段差にも気をつけなければいけません。段差に足を踏み入れる際「怖い!」など実際につまずいてしまう生徒も見られましたが、伴走者の声を頼りになんとかゴールへ。ペアが交代すると、先にアイマスクを体験した生徒は、どのように誘導したら見えなくても走りやすいか、自分が体験した感覚をもとに工夫して誘導に取り組む姿も見られました。
最後は生徒からのお礼の挨拶で授業は終了となりました。
アスリートから児童生徒へメッセージ
諦めないで夢を掴み取ってください
いろいろな夢があると思います。自分の夢に向かって努力すれば、必ずその夢は叶います。努力を続けてその夢を掴み取ってください。
授業のまとめ
実際にブラインドマラソンの体験をすると、視覚がない中で歩いたり、走ったり、見えないことがこんなにも怖いことなのだと気付かされます。体験した生徒たちは、ブラインドマラソンを伴走者と協力してクリアすることでその恐怖を超えることができました。
自身で音声ガイドを駆使してパソコンを使いこなすなど、ハンデを感じさせないパワフルな高橋さん。生徒たちも、夢に向かって一生懸命に取り組み困難を乗り越えるためのパワーの源を感じ取れたのではないでしょうか。