世界パラ陸上競技選手権3大会連続出場新田恵子さんの競技用車いすレーサー体験

世界パラ陸上競技選手権3大会連続出場新田恵子さんの競技用車いすレーサー体験

アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
1月17日、車いす陸上100m日本記録保持者新田恵子さんが、山口県宇部市の琴芝小学校にアスリーチ!

訪問アスリートご紹介

新田恵子さん。広島県出身。6歳の時、日常生活の不慮のアクシデントにより下半身が動かなくなり、以来、車いす生活に。車いすテニスでパラスポーツを始め、後に陸上競技に転向。100mT53クラスの現日本記録保持者で、世界パラ陸上入賞、アジアパラ競技大会100m銀メダルなどの成績を残しました。

学校や地域のご紹介

「緑と花と彫刻のまち」がキャッチフレーズの宇部市。海へも山にも近くとても素敵な街です。琴芝小学校はJR宇部線琴芝駅からすぐ、宇部で南北を結ぶ通りとして歴史のある「参宮通り」に面した大きな学校です。

実技と講話の授業

先生からのイントロダクションがあり、授業がはじまりました。最初に車いす陸上競技の説明がありました。「車いすがどのくらいのスピードで走れるか予想してみてください」という新田さんの問いかけに、みんな一生懸命考えて積極的に答えます。男子のトップクラスの選手は、自転車を全速力で漕ぐのと同じくらいの速さの時速40kmで走り、フルマラソンではオリンピック記録より43分も速くゴールすることなどを教えてもらい、みんな驚いていました。

実技は3つのグループに分かれ、3つのステーションを回る形で行われます。ひとつは競技用車いすレーサー体験。残りの2つは考えながらも俊敏に動き、楽しく体を動かすドリルです。最初に新田さんから、競技用車いすの乗り方、操作の仕方の説明がありました。子どもたちは乗るのもひと苦労。ハンドル操作は前傾して自転車のように行ないますが、スピードが出ていないとなかなかハンドルが動いてくれません。他の2つのドリルは先生がやり方を説明してくれました。

レーサー体験では、カーブに苦戦する子どももいましたが、周りがサポートします。次第にみんなコツを掴んできて、直線では一生懸命漕いで、カーブもうまく曲がれるようになってきます。ひとりの体験は短い時間でしたが、楽しそうに車いすを操っていました。

2つ目のドリルでは、四角いエリアの真ん中に置いてある5つのマーカーを早く自分の陣地に3つ集めたら勝ちです。真ん中にマーカーがなくなったら相手陣地のマーカーを獲ってもOK。みんな全速力でマーカーをとりにいき、自分の陣地に持って帰ってきます。白熱したゲームが続きます。

もうひとつのドリルは2チームに別れての「〇✕ゲーム」です。このドリルも俊敏性と動きながらの判断力を高める訓練になります。自分の陣地にあるボールを先にある9つのエリアに運び、タテヨコナナメいずれかの列を完成させますが、自分の陣地にボールがなくなったら、すでに置かれているボールを移動させて完成を目指します。ここでもみんな全速力、元気に走ってチャレンジしていきます。

「実技の授業はいかがでしたか?」の新田さんの問いかけに、たくさん「楽しかった」の声があがります。「レーサー体験は難しかったですか?」には「簡単!」「ハンドルが堅かった」など元気な声で反応がありました。

新田さんは、6歳の時に車いす生活になり、友達や先生のサポートしてもらいながら学校生活を送っていたことなどを話してくれました。当時の新田さんはサッカーの授業にもゴールキーパーとして参加していたそうですが「みんなだったらどんなアイデアが思いつきますか?」と質問すると、多くの子どもが手を挙げて「棒を持ってボールを扱う」「全員車いすでやる」など新田さんも思いつかなかったアイデアを出してくれました。

日常生活を送るにあたっては、車いすならではの工夫が必要です。新田さんは自動車の運転や飛行機や電車、バス移動での工夫も話してくれました。
パラリンピックの創設者が語った「失ったものを数えるな、残されたものを最大限いかせ」という言葉を紹介し、この考え方はみなさんにも通じると語る新田さん。

「『私は足が遅い』とか『背が低い』とか、ついつい人と比べてしまいがちですが、自分にあるものや得意なことに目を向けていきましょう。そのほうが人生楽しくなると思います」とのメッセージをいただきました。

アスリートから児童生徒へメッセージ

まずやってみましょう

失敗するのは恥ずかしいとか間違ったら嫌だなと思いがちですが、まずはいろんなことに挑戦してみましょう。そのなかから自分が好きなことや得意なことをみつけていきましょう。

授業のまとめ

今日の授業は4年生51名。とても礼儀正しい元気な子どもたちで、積極的に授業に取り組んでくれました。

宇部日報さんが取材に来てくれました。

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