貴重な競技用車いすレーサー体験。車いす陸上100m日本記録保持者新田恵子さんによる体育の授業

貴重な競技用車いすレーサー体験。車いす陸上100m日本記録保持者新田恵子さんによる体育の授業

アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
1月16日、世界パラ陸上競技選手権3大会連続出場の新田恵子さんが、山口県小郡市の小郡小学校にアスリーチ!

授業は4年生76名が対象。4年生は福祉の授業をしており、車いすの経験はあるそうです。今日競技用車いすも体験し、2種類目の車いすと接することができた貴重な時間でした。

訪問アスリートご紹介

新田恵子さん。広島県出身。6歳の時、日常生活の不慮のアクシデントにより下半身が動かなくなり、以来、車いす生活に。車いすテニスでパラスポーツを始め、後に陸上競技に転向。100mT53クラスの現日本記録保持者で、世界パラ陸上入賞、アジアパラ競技大会100m銀メダルなどの成績を残しました。

学校や地域のご紹介

JR山陽新幹線新山口駅からバスに乗って数分のところにあります。今年開校151年を迎える歴史ある学校で、親子何代にもわたって母校として地域に愛されている学校です。スローガンは温かく強く活き活きと、「温強活」だそうです。

実技と講話の授業

大きな拍手と子どもたちの「おはようございます。よろしくお願いします」というとても元気で大きな声に迎えられます。まず子どもたちによる準備体操あり、体を少し温めてから新田さんのお話を聞きます。「フルマラソンのオリンピック記録が2時間1分39秒に対し、パラリンピックはどれくらいの記録だと思いますか?」の問いかけに、子どもたちはとても興味深く反応し、次々に積極的に答えてくれます。車いすマラソンのほうが43分も速いと知ると、「え、お~」とびっくりしていました。

実技は3つのグループ、ステーションでおこなわれます。1つ目は競技用車いすのレーサー体験。競技用車いすに乗るのは、普通の車いすに乗るのとは少し要領が違い、やや狭い座席にすっぽりとお尻を沈める必要があります。そして、ハンドル操作は体を前傾させてスピードが出ているときに動かします。子どもたちはすぐにコツを覚えて楽しそうに走らせます。カーブを曲がるのも上手です。全員がスムーズに体験できるよう、次に乗る人は手袋をして準備しておきます。また、方向転換が上手くいかなかった仲間のサポートをします。チームワークは抜群です。

2つ目は四角いエリアの真ん中に置いてある5つのマーカーを早く自分の陣地に3つ集めたら勝ちとなるドリルです。真ん中にマーカーがなくなったら相手陣地のマーカーを獲るのもOKです。俊敏性と動きながらの判断力を磨きます。先生方のデモンストレーションがありましたが、全力で真剣にやってくださったおかげでなかなか決着がつかず、子どもたちは大喜び、大いに盛り上がりました。子どもたちの競争も白熱し、周りの応援も熱がはいります。

3つ目は2チームに別れての「〇✕ゲーム」です。このドリルも俊敏性と動きながらの判断力の訓練になります。自分の陣地にあるボールを、先にある9つのエリアに運び、タテヨコナナメいずれかを完成させます。自分の陣地にボールがなくなったら、すでに置かれているボールを移動させて完成を目指します。相手がどこにボールを置いたか、自分たちのどこにボールを置いたら完成するか、スタート前から考えておく必要もあります。みんなしっかり考えながら動いています。

講義では、不慮の事故で車いす生活になり、あまりに突然のことだったので実感がわかなかった心情や、両親や友達や先生にサポートしてもらいながら生活を送ったことなどを話してくれました。新田さんの6歳のときの写真が映し出されると「かわいい~」と声があがります。サッカーの授業もゴールキーパーで参加するなど、一緒にできるアイデアを友達にも考えてもらいながら参加していました。スポーツの楽しさに出会ったのは車いすテニスに出会ってから。そのときに、世の中には車いすの人がたくさんいること、工夫しだいでいろんなことができることを知ったと新田さんは話してくれました。

アスリートから児童生徒へメッセージ

自分で考えてまずやってみよう

新しいこと、難しいことにチャレンジするのは目指しにくいと思いますが、自分で工夫してまずやってみましょう。自分で考えるクセをつけると自分の夢ややりたいことに対して、目標の立て方が上手くなります。

大きな夢に向かって小さな目標を立ててクリアしていきましょう

夢や大きな目標を達成するためには、時間軸も含めて中間にある小さな目標を立て、今できることをやっていきましょう。それをひとつずつクリアして積み上げていけば夢や大きな目標に近づいていくと思います。

失敗を怖れずにチャレンジしましょう

私もたくさん失敗してきました。夢や目標に向かって頑張っても、失敗することもあります。大切なのは失敗を次に生かしていくことです。失敗も成功も自分だけの教科書です。失敗したとしても、チャレンジしたこと自体に対して、自分をしっかり褒めてあげてください。

一生懸命やっていると必ず誰かがみてくれています

一生懸命取り組むから学べることがあります。そして、一生懸命やっていると、必ず応援してくれる人、助けてくれる人が現れます。仲間を大切にして安心して前に進んでください。

授業のまとめ

常に大きな声を出して元気に反応してくれる子どもたち。先生方も万端の準備、設計をして
下さっていて、大人数でしたがとてもスムーズに進行した授業でした。

この記事をシェアする