元プロバスケットボール選手小林慎太郎さんの、子どもたちのポテンシャルを引き出す体育の授業
アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
2月21日、元プロバスケット選手、小林慎太郎さんが、鹿児島県出水郡長島町の平尾中学校にアスリーチ!
中学校1年生から3年生、全校生徒34名を対象に、将来設計の道標となる考え方の講義と、バスケットボールを使ってボール扱いのスキル、バランス、頭と体の連動性を高める実技がおこなわれました。
目次
訪問アスリートご紹介
小林慎太郎さん。熊本県出身。宮崎県立小林高校から東海大学に進学し、1年生からスターティングメンバーに定着し活躍。在学中はインカレ2連覇に貢献。パナソニックを経て、NBL初挑戦となった熊本ヴォルターズに加入。熊本地震でチームが存続の危機に陥るなか、チームを支えるだけではなく、震災復興にも奮闘した。現在は解説や会社経営をしている。現役時代のポジションはシューティングガード。
学校や地域のご紹介
長島町は出水郡に属し、鹿児島県北西端に位置し、長島(長島本島)、諸浦島、伊唐島、獅子島などからなる。黒之瀬戸大橋で阿久根市と結ばれており、ブリの養殖やジャガイモの産地として有名。山岳信仰の聖地である行人岳も長島にあります。平尾中学校はJR九州新幹線出水駅から車で1時間ほどのところにある、少人数の学校です。
実技と講話の授業
自己紹介のあと、「まず自分の夢・目標について考えよう」と講義がスタート。大人になればなるほど、失敗するのが嫌で、現実的なことを考えてしまい夢がなくなってしまいます。中学生は時間がまだたくさん残されています。自分がどこに行きたいのかを見定めて、どうなりたいのかイメージしましょう。夢や目標を達成させるには、自分の内面に沸き起こる興味・関心や意欲に動機付けられている状態が重要です。また、成功している人は必ず「正しい努力」をしています。自分にとって「正しい努力」とは何かを考え抜いて実行し、頑張りましょう。そして、ゴールに近づくために何をしなくてはいけないかを振り返りましょう。そのポイントは「Good・Bad・Next」です。と生徒たちをエンカレッジする話をたくさんしてくれました。常に質問し、考えてもらう。それに生徒たちも積極的に応えていました。
実技の最初はボール扱いに慣れることから。バスケットボールを高く投げ、手を叩きなが落ちてくるボールをキャッチします。手をたたく目標回数を自分で設定します。目標を達成した人には拍手。すぐさま振り返りもおこなわれます。よくできたところは「しっかりキャッチできた」。できなかったところは「ボールを投げる高さが低かった」。次のトライは「膝を使ってボールをしっかり高く投げたうえで、キャッチする」。生徒のレスポンスもとても早いです。
次のトライはボールを投げ、手を叩きながら身体を一回転させてキャッチします。「自分が投げたボールがどのくらいで落ちてくるのかを予測する」「身体を回している間もボールから目を離さない」「速く身体を回す」など上手くいくポイントが示されたのち、やってみます。
次は二人一組でボールの獲りあいです。小林さんの「頭、肩、膝」の声にあわせて身体の部位に触れ、「ボール」と声がかかったら床にあるボールを獲りあいます。体育館中に楽しそうな歓声が響きます。このドリルお決まりの、「ボール」と言ったら「頭」に触れ、「頭」と言ったら「ボール」を奪い合うアレンジに大盛り上がりです。
最後はバスケットボールのシュートにトライして楽しい授業は終わりました。
アスリートから児童生徒へメッセージ
「できる」と思えるから挑戦するのではなく、「やりたい」と思ったことに挑戦しよう
「ひとつのことを頑張れ」と言われることもありますが、やりたいことをいろいろやってみて、そのなかで自分が一番やりたいことをやれば良いと思います。最初から諦めるのではなくいろんなことにトライしてください。
夢や目標を達成するにはゴールのイメージを持つことが大切です。
自分の夢や目標についてしっかり考えて、自分がどこに行きたいのかを見定めましょう。「大きい、小さい」「遠い、近い」は関係ありません。「具体的で」「可視化でき」「チャレンジング」な目標を設定して実行し、振り返り、ぶらさず最後まで頑張ってください。
授業のまとめ
最初は少し緊張気味な生徒の皆さんでしたが、小林さんの明るくユーモアーのある口調に緊張もすぐにほぐれていきました。生徒に質問をし、常に考えてもらい、大切なポイントはリマインドし、アカデミックな内容を交えながらの話しは、生徒のみなさんの関心を喚起した授業でした。
生徒の代表から「夢はありますが、なかなか計画が立てられない状況だったので、今日学んだことをいかして、計画をたて夢に向かって頑張ろうと思いました」とお礼の挨拶がありました。