速く体を動かすメカニズムを学び、プロ野球選手が試合前におこなう体の準備を子どもたちが体験。元プロ野球選手、林昌範さんの体育の授業at Yakushima part1
アスリート全国学校派遣プロジェクト『アスリーチ』。
2月27日、元プロ野球選手、林昌範さんが、鹿児島県屋久島町の安房小学校にアスリーチ!
小学校5,6年生66名。野球をやっていない子も運動がやや苦手な子も、みんなが楽しめる体育授業をおこないました。
目次
訪問アスリートご紹介
林昌範さん。千葉県出身。船橋市立船橋高等学校時代から大型左腕投手として注目された。ドラフトで読売ジャイアンツに入団し活躍した後、北海道日本ハムファイターズでリーグ優勝に貢献、横浜DeNAベイスターズでは全球団からの勝利を達成した。現在は、自動車学校の役員を務めながら、野球解説者としても活躍している。
学校や地域のご紹介
安房小学校は、国内最大級の巨木「縄文杉」が有名な屋久島の東側にあり、前身の粟穂小学校創立から数えて145年目を迎えた歴史と伝統のある学校です。校舎の中には樹齢約1300年の屋久杉が展示してあります。
実技と講話の授業
元プロ野球選手が来校するとあって、子どもたちのワクワクは止まりません。大きな拍手で迎えられた林さん。「いろんな動きを今日はしますが、途中で諦めない。失敗しても良いので、必ず最後までやり遂げて下さい」と話があり、早速実技に入ります。
最初に正しい走り方を身につけるため、歩き方を整えていきます。まず普通に歩いてみます。林さんから「モデルさんになって、ランウェイを歩くつもりで格好良く歩きましょう」と声がかかり、みんな格好良く歩こうとしますが、大爆笑が体育館中に響きます。
「目線をやや高く上げ、背筋を伸ばし、手を振って真っすぐに」とアドヴァイスがあり、それを意識して歩き、続いて50%の力で走ります。
「なぜ目線を落としてはいけないのか?」「人間の体の場所で一番重たいのはどこですか?」「片足で立つときに頭はどこにあると楽ですか?」次々に問いを投げかけ、子どもたちに考えてもらいます。子どもたちを積極的に発言します。「スポーツをやるときや、体を速く動かしたいときは頭を真ん中に置いてバランスをとることが大切です」と林さん。
子どもたちに考えながらやってもらう実技は続きます。二人の子どもに立ち幅跳びをやってもらい、「走るときに腕を振ることが大切だと話しましたが、腕を前に振るときと後ろに振るとき、どちらを意識して早く振ったら速く走れると思いますか?」と質問します。子どもたちは「後ろに振る」の意見が多かったですが、両方のやり方を意識して、再び立ち幅跳びをおこなった子供から「前に早く振ったほうが跳びやすかった」と感想があるなど、速く走るには「体を真っすぐにして目線を落とさない」「腕は真っすぐ振る」「腕の振りは前への振りを意識的に早く振る」と三つのポイントを教わりました。
次に、スタートです。ここでも林さんから質問が出ます。「スタートの姿勢をとったあと、体のどこから動き出すことを意識すれば、速く体を動かせると思いますか?」「つま先・腰・腕」の3択です。子どもたちの意見は分かれました。林さん自身が大学院で動作解析の分析を学んだ際に出た結果は「腕」だったそうです。
そして、プロ野球選手が試合前におこなう体づくりの仕方を体験します。ミニコーンを置いて、方向転換・素早い動きを身につけるゾーン。ミニハードルをいろいろなやり方で飛び越え、瞬発力を高めるゾーン。二人一組でボールを投げ、上半身を動かしていくゾーン。三つのゾーン・グループに分かれやっていきます。グループには子どものリーダーが事前に指名され、セッティングや最初におこなうドリルを他の子どもたちに伝えリードします。林さんは各ゾーンを回り、おこなうドリルのやり方やポイントの説明など大忙しで動きます。
講義では、プロ野球選手が入念な体づくりをおこなってから試合に臨んでいる例をあげ、準備の大切さや、一生懸命継続してやることの重要性を話してくれました。今日、実技の後半で体験したドリルは、試合が始まる5~6時間前に球場入りしておこなっているそうです。
最後は、ソフトボール部キャプテンとのキャッチボールを披露し、楽しかった授業は締めくくられました。
アスリートから児童生徒へメッセージ
結果を出すには準備を一生懸命やることと、その継続が大事です
準備を一生懸命やる人とやらない人では結果が変わってきます。普段できていることができなかったり、ケガをしてしまったり。準備は大変だったり、面倒だったりしますが、それを一生懸命やれるかどうか。これまでプロ野球選手をたくさん見てきましたが、最後まで一生懸命やった選手はみんな活躍しています。これは野球に限ったことではないと思います。
そして、日々の継続も夢を実現するには重要です。みんなに与えられている時間は一緒です。24時間を大切に、計画性を持って臨んでください。
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授業のまとめ
体を速く動かすことを理論的に学び、体験した授業でした。プロ野球選手がいかに科学的に体の動きを研究し、結果につながる動ける体を作って試合に臨んでいるかがよくわかりました。
授業が始まる前、校舎への入口がわからず探していたら、休み時間に校庭で遊んでいた子どもたちが案内してくれました。明るく人懐っこく、元気で積極的な子どもたちでした。