「さまざまな競技でも活かせるトレーニング」 陸上競技三段跳びオリンピアン長谷川大悟さんの体育授業
この日の授業は普通科スポーツコースの1年生と2年生の40名。拍手で迎えられた長谷川さん。授業の前半は講話。後半は実技を行いました。学校の体育館が改修中ということで、八代市体育館という非常に広い体育館をご用意頂きました。スペースをたくさん設けて伸び伸びと楽しみながら行ったあっという間の2時間となりました。スポーツコースということもあり生徒たちも活発で関心が高く、それぞれが今、行なっている競技に活かせるような体の動かし方や、意識の仕方など、たくさんの学びがある授業となりました。
目次
訪問アスリートご紹介
長谷川大悟さん。神奈川県出身。
中学校から陸上競技を始め、高校2年生からは三段跳びに専念。2016年リオデジャネイロオリンピック代表選考会であった、織田幹雄記念国際陸上競技大会で優勝し、日本では12年ぶりの三段跳びでのオリンピック代表の座を獲得した。その時の記録は当時日本歴代4位。現在は、現役選手として活躍しながら指導や講演活動をおこなっている。
学校や地域のご紹介
熊本県八代市の市役所近くに位置する八代東高校、八代地域は海あり山あり、平野あり。と言われ、地の利と風土を受け継ぐ、いぐさ、トマト、晩白柚などの特産品が有名です。八代東高校はバトミントン競技が全国でも上位に入る強豪校。今回は体育館が改修中ということもあり、八代市体育館をお借りして授業を行いました。
ハンドボール女子の世界大会や、バトミントン日本代表の合宿、インターハイなども開催される立派な体育館での授業に、長谷川さんも生徒たちも、新鮮な気持ちでスペースを広く活用した授業を行うことができました。
実技と講話の授業
まずプロジェクターを使い講話から。三段跳び(競技)について、競技自体を知らない生徒も多い中で、ルール説明や、3歩で跳躍する距離が「電車の一車両分」であることや、長谷川さんが実際に飛んだ距離16m68cmまでメジャーを伸ばし、わかりやすく表現をするなどし、講話を進めていきます。改めてその距離の長さに、生徒たちも一気に、「すごい…」と驚きの表情に。競技を肌で感じてもらいやすいように、わかりやすく丁寧に説明をされていました。
アスリートから児童生徒へメッセージ
後半の実技では速く走るコツを学びます。スポーツコースの生徒たちに対して、自分の競技でも活かせ、健康にも良いことをやっていきます。
ストレッチの要素や反応の要素を加えた動きで、生徒たちの表情も笑顔に。頭で考えている通りに自分の身体を動かせているか、両手を上げた状態で、前を向いて、きちんと顔を上げて走れているかなど、長谷川さんもアドバイスを送ります。
大きく高く跳ぶスキップの要素や、大股で深く腰を落とした「ランジ」動作をしながらでもしっかりと前を見て、姿勢を整える。地面を強く蹴り、グラグラしないようにバランスを保つことや、瞬発力を高めるために体育座りや、うつ伏せの姿勢からのスタートダッシュ、など数々のメニューがリズム良く行われていきます。
広い体育館を使って、生徒たちものびのびと長い距離を駆け抜けていきます。
自分のタイミングで頭を切り替えて、意識して「集中」ができるようになると、自分の競技、大事な瞬間場面でも力を発揮しやすいなどアドバイスを行なっていました。
伝えたこと①
継続すること、諦めないことが目標達成の大きな要素である。
ひとつのことを投げ出さずに続けていくことが目標や夢を叶えることの大きな力になります。
進学するたびに思い悩みながらも諦めずに取り組んだことで目標を見つけることができました。そして大きな夢を手にすることができました。
伝えたこと②
挑戦することに「才能」や「努力」は関係ない。
どちらかといえば、運動が苦手だった長谷川さん。「周りよりも下手くそだから無理」「今からじゃ遅い」と思う必要は全くありません。小学校の頃は運動とは無縁で、苦手意識すらあったという長谷川さん。友人に誘われ中学生で陸上を始め、推薦でもなく、一般で大学に入学し、悩みながらも競技を続けた結果、明確な目標を持つことができたのは大学生、そこから5年の努力を経て、オリンピックに出場することができました。
伝えたこと③
周りの人を大切、感謝の気持ちを忘れない。
今の自分があるのは周りの人のおかげ、支えてくれる人がいて、今日の授業も準備をしてくれた人が沢山いて、今がある。感謝の気持ちを常に忘れないようにしようと
生徒たちに語られました。
そして、長谷川さんの好きな言葉は「人間本気になれば大差なし」。
運動が得意ではなかった自分に、本気で取り組めば、周りとの差を埋められるという、中学校の陸上部の監督からの言葉を紹介しました。
陸上競技に取り組んだ時期が遅かった長谷川さんですが、この言葉を支えに、明確な目標を持って挑戦を続けた結果、オリンピック出場を叶えることができました。
授業のまとめ
授業の最後には「オリンピックに出て感じたことは」など質問がありました。
オリンピックでは、世界のレベルの高さに自信を無くしたが、それ以上に支えてくれる人が沢山いたこと、オリンピックに出て、喜んでくれる人が沢山いたことに気が付けた大会だったことなどが紹介されました。トップアスリートならではのアドバイスに生徒たちも頷きながら真剣に聞いていました。