【ラグビー大野均コーチ特別インタビュー(前編)】W杯の年に想う、震災復興とスポーツ

【ラグビー大野均コーチ特別インタビュー(前編)】W杯の年に想う、震災復興とスポーツ

ラグビー日本代表として歴代最多の98試合出場、42歳まで現役を続けた大野均さん。現在は「ドリームコーチング」のスポーツ個人指導で、担当コーチの一人として活躍しています。

今回は特別企画として大野均さんにインタビュー!前編・後編①・後編②に分けて、大野さんのお話をご紹介します。前編となる今回は、四年に一度のワールドカップ(W杯)のこと、そしてご自身が福島出身として尽力する震災復興のお話をご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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元日本代表の大野均さんが初めて客観的に見るワールドカップ

元日本代表の大野さんが初めて客観的に見るワールドカップ

2007年、2011年、2015年と3大会連続でワールドカップ(以下W杯)に出場した大野さん。2019年日本大会では選出されませんでしたが、当時はまだ現役選手でした。そのため、2023年の今回が引退後に初めて迎えるW杯になります。

元日本代表の大野さんにW杯・日本代表についてインタビュー!

W杯の年をどのような気持ちで迎えていますか?

「1人のラグビーファンとして、初めて何のプレッシャーもなく楽しめますね。2019年に日本で開催されて、あれだけ盛り上がった。フランスはフランスで独特のラグビー文化があるので、どのような大会になるのか今からワクワクしています

少し前までその舞台で命がけの激闘を繰り広げてきた大野さんが、少年のように目を輝かせて語ってくれました!

大野さんは日本代表出場98試合。これは日本歴代最多ですね。日本ラグビー界で誰よりも日の丸を背負う気持ちを知る大野さんにとって、W杯とは、日本代表とは、どのような世界でしたか?

「一言でいうと、とても良いものでした。責任とプライドを持って戦う立場。プレッシャーもありましたが、それも含めて楽しかったです

 世界に注目されるラグビー日本代表!

 世界に注目されるラグビー日本代表!

大野さんから見て、日本代表を見る世界の目は変わってきているそう。

「直近2回のW杯、2015年イングランド大会と2019年日本大会の戦いぶりから、日本代表は世界中のファンから注目される存在になってきています。昨年秋に国立競技場で行われたニュージーランド代表戦も、あと少しで勝てそうなところまでオールブラックスを追い詰めました。この10年くらいで日本代表の立ち位置は確実に変わってきていると思います」

大野さんが代表に初選出された2007年、そして震災復興のため日本に勝利を届けようとチーム一丸で戦った2011年。日本と世界の実力差はあまりに大きく、「日本代表は(負ける前提で)“何点差に抑えられるだろうか”というのがファンの感覚だったと思う」と振り返ります。

しかし、2015年に優勝候補・南アフリカから歴史的な勝利(大野さんもスタメン出場)を挙げ、2019年には予選リーグ4戦全勝で初のベスト8に進出しました。

「今では相手がどこであっても勝利の期待感を抱かせるチームになったと思います」と、大野さんは後輩JAPANの戦いぶりに手ごたえを感じている様子でした。

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現役代表選手へのエール:プレッシャーをも楽しむつもりでプレーしてほしい

相手がどこであっても勝利の期待感を抱かせるチームになったからこそ、今の代表選手に伝えたいことがあるそうです。それは「プレッシャーをも楽しむつもりでプレーしてもらいたい」ということ。

「勝つことへのプレッシャーに負けないで、代表戦という真剣勝負を戦える時間を楽しんでほしい。代表にいられる時間は、極めて限られていますから」

誰よりも多く日の丸をつけてグラウンドに立った大野さんが穏やかに発したその一言には、この上ない重みを感じますね。

チームメイトへの期待:自分の記録を塗り替えるとしたら彼しかいない

大野さんがプレーし、現在も所属をしている東芝BL東京からは、直近の日本代表に2名の選手が選出されています。ご存じ、リーチマイケル選手と、20歳の新鋭・ワーナー・ディアンズ選手です。

20歳のワーナー選手のポジションは、大野さんと同じロックです。「20歳で代表の中核選手になっていること自体がすごい」と、大野さんはワーナー選手に大きな期待をかけます。

自分の代表98キャップを塗り替えるとしたら、ワーナー選手しかいないと思っています。彼なら通算100キャップ、日本代表初のセンチュリオン(ラグビーにおいて100試合出場の意味)も夢ではないでしょう」

このように語りつつ、続けて「ただし、今後もずっと真摯にラグビーと向き合い、ケガなく続けられれば、ですね」と先人として重みのある言葉も聞かれました。

期待の若手・ワーナー選手、ベテランのリーチ選手を含む日本代表の戦いまで、あと約6か月。代表選出をも賭けた国内リーグ戦・リーグワンの激闘は今佳境を迎えているので、皆さん要チェックですよ!

 2011年3.11。故郷・福島を襲った大震災

四年に一度のラグビーW杯イヤー。大野さんには、自然と蘇る別の記憶があります。それは、2011年3月に故郷・福島を襲った大震災です。福島が震災に襲われた年は、ラグビーW杯の四年に一度の年でした。

当時、トップリーガーだった大野さんでしたが、故郷のために即座に行動を起こします。震災直後、味の素スタジアム(東京・調布)に福島から被災された方が避難していると聞くや否や、励ましに向かいました。

4月に日本ラグビー協会が復興支援イベント「RUGBY:FOR ALL ニッポンのために!」の実施を決定した際には、真っ先に参加を表明。率先して他のラグビー選手へ参加をするよう働きかけました。

さらに6月には、東京・銀座で行われた慈善イベントに参加。そこには、誰より目立つ大きな体で、銀座を歩く人々に募金を呼び掛ける大野さんの姿がありました。

あれから12年。福島の実情と世間の感覚

あれから12年。W杯3大会分の時が流れましたが、大野さんの頭には常に福島復興のことがあります。

“大野さんにとって、この12年はあっという間でしたか。それとも、長かったですか?”と質問すると、「うーん」としばらく考えた後、次のようなエピソードを話してくれました。

「最近、福島第一原発の敷地内に立ち入る機会がありました。作業の様子を聞いたり、周辺の町の立ち入り禁止区域をバスで見て回ったり」

短時間であれば防護服がなくとも建屋の近くに行けるなど、作業の前進も体験したという大野さん。しかし、関係者から聞いた言葉に衝撃を受けたといいます。

「まだ解体に向けて重要な部分にはたどり着けていない、と。燃料の取り出しの方法もまだ決まっていない(※1号機)と聞いて、ショックを受けました」

震災から12年。地元・福島の実情と世間の感覚とのズレが大きくなっていると、大野さんは危機感を露わにします。

「福島の人間という立場からしますと、震災は風化していると感じますね」

ラグビーが震災復興の励みに!みんなで同じ方向を向いて前進したい

ラグビーが震災復興の励みに!みんなで同じ方向を向いて前進したい

原発の現場で、たくさんの作業員が復興に向けて働いている姿を見た大野さん。そういう人たちが現場で頑張っているからこそ、自分たちは安心して生活ができているということを実感したそうです。そして、原発に関するエピソードを、ひとつ明かしてくれました。

「2015年のW杯で僕らは格上とされた南アフリカに勝ったんですが、時差のために日本では深夜から早朝にかけての放送でした。それを原発の作業員さんたちが見ていてくれたそうで、『日本の勝利に元気をもらった』といって朝から作業に向かわれたというお話を聞きました。震災の年の2011年W杯には“日本に元気を届ける”と意気込んだものの、1勝もできなかったので、四年越しとはいえ少しでも力になれたのかなと嬉しく思いました」

震災直後から12年に渡り続けている復興支援活動では、被災者の方から逆にエネルギーをもらったこともあるそう。

「避難生活をされている方たちを訪ねたとき、皆さんの気持ちが前を向いていると感じたんですよね。前を向いている姿を見て、“サポートをしたい”という気持ちではなく、“一緒に前に進みたい”という気持ちになりました。同じ方向を向いて前に進みたい、と」

みんなで同じ方向を向いて前進する。まさにラグビー精神そのものですね。

スポーツで福島の子どもたちを元気に!

復興イベントで福島の子どもたちを元気に!子どもの笑顔を引き出すスポーツの力

スポーツをやってきた立場から、「スポーツを介して少しでも地元の復興の力になりたい」と話す大野さん。

“スポーツは復興の力になっていると感じますか?”と質問すると、「復興イベントなどで子どもたちとスポーツをすると、子どもは自然と笑顔になるんですよね。とにかく楽しそうにしてくれる」と笑顔で答えてくれしました。

最初は大野さんのことを怖がる子どもも、終わるころにはすっかり懐いてくれるのだとか。

「福島の復興にとって大切なことのひとつは、子どもたちがいかに元気に過ごすことができるかだと思います。それだけに、子どもの笑顔を見て“スポーツをやっていてよかったな”と感じますね」と語ってくれました。

その顔に浮かんだ優しい笑顔から、ファンから均ちゃん(きんちゃん)と呼ばれ親しまれる理由がわかりました。

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2023年のW杯に期待!福島の復興にもスポーツで貢献

2023年のW杯に期待!福島の復興にもスポーツで貢献

今回は、ラグビーの元日本代表で現在「ドリームコーチング」のスポーツ個人指導をされている大野さんから、ラグビー日本代表選手へのエールや期待、2011年3.11に起こった大震災の復興のお話をお伺いしました。

震災の復興のお話では、ポイントに子どもたちの存在を挙げる大野さん。では、大野さんご本人は、福島でどのような子ども時代を過ごし、そしてどのようにラグビーと出会ったのでしょうか。後編①では、大野さんの幼少期の過ごし方、野球少年だった大野さんとラグビーの出会い、後編②では個別指導や「ドリームコーチング」の魅力などを聞いていきます!後編①②もお楽しみに。

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